RICOH GXRはレンズとセンサーを一体化したユニットを交換できるという特徴的なシステムだが、センサー剥き出しのMマウントユニットを用意してしまった結果、ライカをはじめとするMマウントレンズを最も手軽に・最もコンパクトに使えるボディができあがってしまった。これがGXR MOUNT A12である。
レンジファインダー機ではないので、撮影スタイルは少し変わってくる。レンジファインダーならではのピント合わせやルーズなフレーミングではなく、背面液晶を見ながらきちんと画面全体を意識した撮影に。逆に言えば、レンジファインダーにはできないやり方で画を作れるということでもある。例えばレンズのボケ具合を見ながらピントを合わせていくこと。これ自体、M型ライカを使っている人からすればちょっとした感動があるのだ。
その画についても侮ることはできない。ローパスレスの画は極めてシャープで、リアリティ溢れる描写。Lマウントも含めると無数に存在するレンズの数々を楽しむのに、これほど手軽なパッケージは他にない。フランジバックが短く機構もシンプルなL/Mマウントレンズ群はどれも小柄で、その組み合わせによって「明るいレンズをつけた高級コンパクト」にも「超広角レンズをつけたスナップシューター」にも早変わり。レンズを選べる高性能コンパクトデジタルと考えれば、このボディの持つ魅力は無限大と言っても過言ではないだろう。
「レンズ沼」などと称されるほどに奥深く、愉しいこの世界。まずはGXR MOUNT A12を手にして、沼の淵を覗いてみてはいかがだろうか。
(写真:M.Ito / 文:M.Ishizuka)
小さなボディということもあって撮っている時に手応えがあるわけではないのに、PCでその画を確認するとシャープな仕上がりに驚かされます。APS-Cサイズのセンサーゆえ、レンズの美味しいところを使える、ということもあるでしょうか。
トーンも良好。ハイライトからシャドウまで、よく粘ってくれるという印象です。21mmくらいの広角レンズなら少し絞ればパンフォーカスになり、ちょうど良い外付けファインダーを用意すればフレーミングとタイミングに集中できる軽快スナップボディに。
独特のボケを堪能できるノクトンクラシック40mmは、Mマウント事始めにはオススメの一本です。オールドレンズに手を出し始めると通常は距離計とのマッチングが問題になってきますが、ピントを画面で確認できるGXRなら心配ご無用。Lマウントレンズを少し緩めて、最短距離より近くの被写体を撮るなんていう芸当も可能です。(くれぐれも自己責任でお願いします)
なかなかに渋い色合いで仕上がりましたが、実際にこのような具合のシーンでした。色再現については特に心配なく使えるという印象ですが、オールドレンズや広角レンズなどにあわせて周辺光量や色かぶり・ディストーションの補正も可能です。気になる方はレンズに合わせてセッティングし、登録して使うと良いでしょう。
Mマウントレンズを装着できるデジタルカメラとして、これほど気軽に使えるボディはないだろう。軽量コンパクトであることはもちろん、プライス面においても疑いの余地はない。ちょっとしたレンズ1本よりリーズナブルなのだから、そのコストパフォーマンスは驚くべきもの。レンジファインダーという機構や感触、撮影スタイルにこだわらないのであれば、Mマウントのレンズを使ってみたい方に第一におすすめできるボディと言える。
すでにデジタルレンジファインダーや銀塩ボディをお持ちの方にも、GXRは面白い選択肢だ。ライブビューでの撮影はレンジファインダーではできない撮影方法が試せるし、コンパクトなボディは携帯性も高い。M9などフルサイズボディとあわせれば、APS-Cサイズと二つの画角を使えるスーパーサブになる。レンジファインダーが苦手な望遠域などは、むしろGXRのほうが使いやすいのではないだろうか。90mmを1本持っておく位でも、レンジファインダーでは諦めていた景色を切り取ることができる。使い手によって様々な役割を担えるこのボディ、見逃してはもったいない。
*これまでコラムで掲載してきたレンズ別の作例はこちらから
Carl Zeiss Hologon T* 8/16
LEITZ SUPER-ANGULON 3.4/21
LEITZ ELMARIT 2.8/28
LEITZ NOCTILUX 1:1/50
Voightlander ULTRA WIDE-HELIAR 12mm F5.6 ASPHERICAL
Voightlander SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL
Voightlander COLOR-SKOPAR 25mm F4P
Voightlander NOKTON Classic 35mm F1.4 SC.
Voightlander NOKTON Classic 40mm F1.4 SC.
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GXRボディをお持ちでなければ始まりません。初めてお使いの方はこちらをご一緒にどうぞ。
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バッテリー切れほど悲しい結末はありません。複数持てば安心です。価格:Loading..(税込) Loading..(Loading..)
高速データ通信を可能にするUHS規格に対応。最大90MB/秒の書込み速度で、RAW+JPEGの撮影でもスピーディなスナップが可能。
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少し小さいサイズを何枚か持っているというのもいい方法ですね。使いやすい16GBはいかがでしょうか。
Mマウントレンズを使える最もコンパクトなパッケージ。GXR本体を既にお持ちの方はこのユニットだけで、Mマウントレンズの世界がスタートできます。悩むべきは「最初のレンズを何にするか」ということでしょう。
※GXRボディ本体をお持ちでない方は、併せてお求めください。