2012年のフォトキナで新しいライカMと共に発表されたM-Eは、伝統的な距離計の技術に基づくM型デジタルライカ。簡単に言えば「今まで通りのライカ」ということになるが、いくつかのギミックを省くことでプライスを抑えたコストパフォーマンスに優れたボディである。描写性能についてはM9と同じと考えればよく、これからM型デジタルを選ぶ方には魅力的な選択肢といって間違いない。絞られた機能も、USBコネクタとファインダーのフレームセレクタレバーであり、実用には差し支えないものと言えるのではないだろうか。

描画性能はM9と同様であり、ローパスフィルターのないセンサーはレンズの描写を素直に表現してくれる。長年にわたって生み出されてきたMマウントレンズの名玉の数々、Lマウントも加えれば無数とも言えるレンズ群の描写を思う存分楽めることが、M型デジタルライカの一番のポイントである。

レンジファインダー式のカメラは、一眼レフのように厳密な撮影ができる構造ではない。寄ったりすることはできないし、望遠も得意ではない。ズームレンズなどは存在せず、装着するレンズは単焦点だけ。ボディもレンズもシンプルな構造だが、それゆえにフランジバックも短く、コンパクトで優秀なレンズが揃っている。一日ぶら下げて撮り歩いても、旅行に持っていく鞄に入れても、無理のない軽快なパッケージになる。