確かに高価だ。写真を撮らず棚に飾るユーザも居る。そしてライカを単なるブランド品と揶揄する人も居る。べつにライカを実用で傷だらけにして使い込んでいるユーザが恰好いいと言うのではない。

・・・結構誤解されているカメラだと思うのだ。

カメラの基本性能(特性)を簡単に記すと、まずこれだけ小さなボディにフルサイズのイメージセンサーを積むことが大きな特長としてあげられる。この時点で唯一無二である。レンジファインダーの極端に短いフランジバックでこれだけ大きなセンサーを積むのは至難の業である。またセンサーはローパスレスである。(このカメラの性格上)実用上支障のない程度にモアレや偽色を低減できるのならば ローパスは無いに限る。像のシャープさがまるで違うのだ。そして無数といってよい交換レンズ群の存在。オールドから、どんなシステムを見渡してもこれほど積極的に性能の出しやすい単焦点レンズが新しい設計で充実しているシステムはない。もっとも単焦点レンズが充実するのはレンジファインダーである以上当たり前の話だが。

もちろんオールマイティなカメラではない。機構上接写は難しく、超望遠など望むべくもない。ボケ味やその量を確認することもできなければ、パララックスもある。しかし、非常にコンパクトにまとめられるシステムが故に、持ち歩きが容易で、結果持ち歩く機会が増える。写真はカメラを持ち歩かなければ話にならない。瞬時の一期一会に、咄嗟にカメラを構えられ、ある程度絞り込み置きピンで被写体を捉えられる。そんなシチュエーションでは、M9ほどに高画質をたたき出せるカメラは無いと言っていいだろう。便利な機能は機材の嵩を増し、ある種様々な操作を強いる。今時の設計思想のカメラであれば、M9のような作法で写真を撮ること自体が難しい。

高いだろうか? オールマイティな便利さと、それとトレードオフとなる中庸な画質に対価を払うか、限定した便利さと、限定したシチュエーションで得られる圧倒的な高画質に対価を払うか、要するに選択の問題である。・・・メジャーメーカー一眼レフ・フラッグシップと同等の価格で手に入れられるのは、むしろ安いのかもしれない。

LEICA M9の最大の特徴はローパスレスであることだろう。センサーの構造上、偽色やモアレは切っても切れない関係にある。分かりやすく言えばローパスフィルターを用いることで像をぼかし、偽色やモアレを低減しようということである。メリットの反面、デメリットもあり、プロの人々は「何処にもピントが来ない」と一様に口を揃えて言う。意訳すると「シャープさが足りず、どこにピントのピークが来ているのかわからない」(対フイルムにて)というわけだ。ならばカメラ内若しくは後処理でシャープ処理を行えばよいと思い浮かぶが、それはあまりよい結果をもたらさない。そもそもぼかされた像に後処理でシャープ処理を加えても、線の太いぎこちない画になるだけなのだ。

できればローパスフィルターは無い方が望ましい。シャープさがまるで違うのだ。写真は実際の光景を2次元に置き換えるものだが、実際には、距離もあれば空気もある。これをリアリティのある"2次元"に置き換えるにはボケ表現なども重要な要素の一つである。ピントの合った部分のシャープさとボケとの対比で、人は実際の光景をデフォルメした2次元の画にリアリティを感じる。つまりメリハリがあれば、リアリティを感じやすい。ローパスレスが有利なポイントである。

上のカットの100%クロップ画像である。RAWで撮影し、Capture One Pro 6でストレート現像したのみ。一切シャープ処理等は行っていない。このキレこそがM9が叩き出す画の最大の魅力だろう。

一眼レフに比べれば極端に短いフランジバックのおかげで、ライカはデジタルM型に見合う現行レンズへの徹底的な置換を行ってきた。機構上、非常に厳しい環境に晒されるため、レンズ設計は困難であることは想像に難くない。また、レンジファインダーである以上、レンズは全て単焦点である。幾らズームレンズの性能が出せるようになっても、本質的に単焦点の方が性能を出しやすいはずだ。これらが複合的に絡んで、どのシステムよりもレンズ性能とそのラインナップが充実し、高画質へと繋がるのである。

高性能なレンズがラインナップされ、ローパスレスのフルサイズ・センサーを搭載するボディ。コンシューマ向けのデジタルカメラで、実は最も容易く高画質を手に入れることができるシステムと言えるだろう。ライカM型以外でローパスレスなのはシグマのSDシリーズか、あとは中判デジタルバックである。シグマの場合主力はズームレンズであり、性能の出やすい単焦点のラインナップという意味では見劣りする。中判デジタルバックに至ってはパーソナルユースでは非現実的なプライスだ。ここに一つのアドバンテージがある。

デジタル時代になって、カメラの画質的性能も非常に重要だが、やはり写真はレンズで決まる。レンズの選択肢ではライカの右に出るものはない。現行の純正レンズ群にサードパーティ、それぞれのオールドレンズも含めると、数え切れないほど。究極の性能を有するものから、どうしようもなくダメなレンズまで、レンズを取っ替え引っ替えして遊ぶには本当に退屈しないシステムだ。

レンズ遊びははまりこむと、その数から実にきりがない。最初のうちは写真の内容そっちのけでレンズの描写を単純に楽しむ。楽しむと言っても、当面はレンズ描写の雰囲気でしか見分けがつかない。ディテイルの差異などわかりっこない。従って最初のうちは、それぞれが持つレンズの分かり易い個性を利用して、それに見合うシーンを探して撮ることが楽しくて仕方なくなる。そこから1歩先に進むと、レンズのディテイルの見分けがつくようになる。

このステージになると、もはやレンズは何でも良いといった心境になってくる。短所と認識すれば、もはや短所とは言えず、長所も活かせなければ長所とは言えず、実質的な撮影シーンを思えば中庸な特性のレンズに落ち着き始める。要するに、散財を繰り返した見返りに、どんなレンズでも一定の写真が撮れるスキルが身につくのだ。そして思い返したかのように、再びレンズ沼の深淵を覗き、沈み、浮かび上がり、その繰り返しである。大抵の好き者ユーザはそのような道を歩む。そうこうしているうちに、実に味のある写真を撮るカメラマンができ上がるのだから不思議なものだ。あまりに強烈な個性のレンズが揃うが故に、あれこれ手を出すことで、最終的には光景を探し、シャッターを押すだけと、撮影行為のみが純化していくのか。業の深い話であり、払ったお金をどうにか取り戻したくなる話である。

レンジファインダーの面白いところは、そのまま短所でもある「寄れないところ」。距離計連動範囲であれば、最短70cmまでしか寄れない。しかし考えてみれば、たとえば人物撮影において対峙するときに、70cmという距離はどんな距離なのだろう。・・・プリミティブな機構のシステムだけに、色々なことを考えさせられるカメラである。

フイルム時代と違い、ファインダー倍率は選べず、0.68倍程度。35mmあたりで使うのがベストか。余談だが、単焦点で写真を撮りたくても画角の感覚が掴めていない人にはレンジファインダーはお勧め。ファインダーを覗きながらブライトフレームを切り換えるレバー(左写真のシルバーのレバー)を操作すれば、レンズ交換せずとも写り込む範囲が確認できるので、切り換えながら何ミリのレンズを用いればよいか感覚的に掴みやすいのである。
男性であれば手のひらにスッポリ収まるカメラが故に、比較的小さなレンズが似合う。オールドであれば、ボディキャップと見まがうような薄いレンズがあり、最新のMにつけてみるとなかなか恰好よい。

おすすめはHektor 2.8cmやSummaron 3.5cmなど。古い短い鏡胴の沈堂Elmar 5cmあたりもよく似合う。このあたりの開放が暗いレンズは、きちんと整備された個体であれば実によい写りをする。残念ながらこのサイトで販売は無いが、どうか街角で探してみてください。
シャッターの最高速は1/4000。M8の時は1/8000だったが、シャッターの静粛性を求めてスピードダウン。アメリカのユーザから「静かにしてくれ」と要望が多数寄せられたそうだ。その場の雰囲気を壊さずシャッターを押せるカメラは、このカメラとコンパクトデジタルぐらいなものか。

ライカユーザはとにかく意味もなく開放で撮影する習性あり。したがって最高速が低いのではないかとの懸念は無用。ISO50への減感モードで対応。F1などのド級レンズでは、迷わずNDフィルターをお買い求めください。

ライカM8/M8.2の色再現はIRカットフィルターの関係からか、かなり色が転ぶ。これはこれで面白いのだが。M9になってからは実にニュートラルな色再現になった。M8/M8.2がネガフイルム的な色再現なら、M9はポジフィルム的である。露出もたとえるフイルム特性のとおり、M8/M8.2はハイキー表現が面白いのだが、M9はローキー表現が面白い。同じメーカーが作ってるとは思えないほど色再現や特性が違う。一般的に扱いやすいのはM9だろう。M8/M8.2はもはや流通の在庫のみのような様相であり、可能であればM8/M8.2も手に入れておきたいものだ。フイルムをチョイスするノリで。

高感度特性も随分向上した。上のカットはISO400にてRAWで撮影。Capture One Pro 6ではデフォルトでノイズリダクションのパラメータが設定されるが、あえて効果をカット。ISO400程度なら全く問題無いのはともかく、ISO800以上でも使える。M8/M8.2ではISO640でもかなりノイジーだったことを思えば、M9はかなり対策が行われたのだろうか。なお、ISO50への減感もできるようになった。少々ダイナミックレンジは狭まるだろうが、シャッター最高速が1/4000となったことへの手当だろう。実際、開放付近での撮影では重宝する。


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LEICA M9

M9は装着レンズの手動設定を可能にして、極端に短いフランジバックに起因した画質の補完を容易とし、赤外被りから解放され、色再現もニュートラルに。何より50mmが50mmで使えるフルサイズ・センサーを搭載。M8の登場はエポックだったが、M9もまた然りである。数あるデジタルカメラの中で、これほど日々手にしたくなる趣味性の高いカメラも珍しいだろう。矢継ぎ早にモデルチェンジを重ねる他のカメラに比べれば例外的にモデルライフも長い。M9が出たからといって、M8はM8で確固たるキャラクターを持ち、陳腐化しない。そんなM型デジタル、そろそろいかがでしょうか。

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