「子供とか、おばあちゃんとか。いいなって思って、シャッターを切るんです。すごいでしょう? A型で撮ってるんですよ。これと・・・これも。」

高野さんの見せてくれた写真には、穏やかな日常の光景がたくさん写っていました。奇をてらうことのない、素直な写真。その一枚一枚から、彼女の心のうごきが伝わってくるようです。

忙しさに追われていた時期もあったといいます。ひとつひとつの役を大事に演じていきたい彼女は今、自分のできるペースで仕事に取り組んでいます。

「舞台とか映画とか、集中しなきゃいけない時期は頭のなかがそれだけになっちゃうんです。だから仕事と仕事の合間にぽっかり空いた期間が、私にとって大切な充電期間。」

仕事をしない時間がつづけば大抵の人は不安になるものなのに、彼女にはそんな心配はいらない様子。しっかりと休息を取り「高野志穂」に戻って、次の仕事の準備をする。高野さんの写真に穏やかな日常があふれているのは、たぶんそんな時期にシャッターを切っているからかもしれません。

 

 

芝居という世界に魂を捧げるその情熱的な姿も、舞台の外で気さくに笑うその姿も、どちらも偽りのない高野さんの姿。いつも自然でいられる彼女の姿は、とても輝いて見えます。きっとこれからも自分らしさを保ちながら、人一倍の努力をもって、役者の道をすすんでゆくのでしょう。

やがて10年や20年という月日が流れたとき、彼女がノーマ・デズモンドを演じるとしたらどんな芝居になるのでしょうか。
これからの高野さんを応援していきたいと思います。

 

高野 志穂 さん

32歳。俳優。
コムスシフト所属。

-取材後記-

話をしてみると、屈託のない彼女の笑顔と気取らない態度に、私たちの緊張はすっかりほぐれてしまいました。コロコロと変わる表情と、感情豊かなリアクション。誰にも壁をつくることなく、すぐに打ち解けることができる彼女は、ひとたび舞台の話になると目をきらきら輝かせて話しだすのでした。

ライカについても、特にこだわりなく使っている姿が印象的です。レンズがどうだとか、ボディがどうだとか、小難しい話はいらないのです。だって、フイルムを使う理由が「パソコン持ってないから」だなんて、信じられますか?

※高野志穂さんの舞台「ピグマリオン」は、2011年8月19日から9月4日まで上演。舞台の上で生きる彼女を、どうぞお楽しみに。
>> 舞台「ピグマリオン」オフィシャルサイト

このページの上部へ