さて、Scottさんがいつも撮り歩かれている、シアトルそして近郊のスポットを案内していただいたので、皆様にその模様をお届けしよう。


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シアトルは車を2時間も走らせればカナダのバンクーバーという、アメリカ西海岸でも北部に位置する都市。北海道よりも緯度が高く、5月でも日中の気温はさほど上がらず日が陰れば肌寒い。また日没後、完全に夜の帳が落ちるまでかなりの時間を要する。海流の影響を受ける気候の関係から、真冬でも極端に寒くなることは無いそうだ。雨期には何日も雨が続いて(霧雨程度)街をグレーに染めるが、明けると実に澄んだ光が降り注ぎ、雨期とは正反対の光景に塗り替える。カメラを握って散策するには非常に面白い所で、シアトル・ダウンタウンのような古い街並みもあれば、Scottさんがお住まいであるベルビューのような新しい街も隣接し、ワシントン湖をはじめとして水辺の景色に事欠かず、色んな表情を見せる空とシンクロしてレンズの向け先に困らない。

シアトルは、日本人にとって馴染み深い街でもある。まず、日本の街のあちこちで見かけるコーヒーチェーンストアの多くはたいていシアトル発だ。最も馴染み深いのはシアトルマリナーズのイチロー選手だろうか。PCの世界ならマイクロソフト社、飛行機ならボーイング社。「ニルヴァーナ以前、以降」なんて表現を一部に生んだほど音楽界に影響をもたらしたグランジロックのこのバンドもシアトルから出てきた。

少し歴史に触れてみよう。Scottさんがblogで取り上げられていたが、シアトルには、もともとインディアンが先住していた。19世紀にアメリカ連邦政府に強制移住させられたのだが、その際のChief Seattle(シアトル酋長)の演説が大変有名である。時の大統領に宛てた手紙の内容だそうだが、その内容をScottさんが転載されているので、興味のある方はぜひご覧いただきたい。ちなみに、Chief Seattleの胸像はシアトル・ダウンタウン南部のパイオニア・スクエア・パークという場所にある。

シアトルは非常に坂の多い街なのだが、「最も歩きやすい街」として歩行者・自転車情報センターより全米1位に選ばれた街である。確かに大抵の道路は広く、自転車専用レーンも設けられ歩道も広い。ダウンタウンはコンパクトで、徒歩で十分まわれるが、前述の通り坂が多いため無料で走るバスを活用すると楽にまわることができる。治安についてはピンポイント的に不安なところはあるものの、概ね良好な都市だと言えるだろう。・・・シアトル・ダウンタウンはScottさんの主戦場の一つ。日頃撮り歩かれている場所を案内していただいた。

重厚で歴史のある建物が多く、多数の街路樹と重なってヨーロッパ的な匂いすら感じる。天気が良ければ、心弾み、斜め上を見上げて歩いてしまう、そんな街並みだ。ここは前のページに掲載したScottさんの作品で登場する通りである。

撮り歩きに疲れても、街の至る所にカフェがあるのでありがたい。こちらはパイオニア・スクエア・パーク内にあるカフェ。日本でよく見かけるフードコートのような雰囲気で大衆的なカフェだが、オバマ大統領がシアトル・ダウンタウンに来た際にここでサンドイッチを食べていったとのこと。しばらく「オバマ・サンドイッチ」なるものが並べられたそうだ。

ダウンタウン中心部には、新鮮な魚貝類や野菜と果物が並ぶ、シアトルで一番古いマーケット「PIKE PLACE MARKET」がある。中にはいると東京・中野ブロードウェイのような雰囲気で面白い。

お客さんが買ったサーモンをかけ声とともに投げるパフォーマンスが行われる魚屋が有名。人だかりが凄くてサーモンが空を舞う画は押さえられなかった。



海外に撮影に行っても、現地の人々の生活が感じられるシーンを捉えるのは中々難しいもの。PIKE PLACE MARKETでは生活シーンの1面を垣間見ることができるので撮影するにはおすすめのスポット。


ダウンタウンにはあのスターバックスの1号店も。店の前でストリートミュージシャンが演奏してるのがなんとなく新鮮だったが、この後ろに出番待ちのミュージシャンが。演出の一つ!?

レンタカーなどで車が使えるなら、シアトルの街を一望できて、水辺の景色も存分に楽しめるスポットとしてScottさんがおすすめするのは、ガスワークパーク。


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元々石炭からガスを製造するための工場だったが、天然ガスが一般化するとともに閉鎖。跡地をシアトル市が買い取り、技術的な歴史を保存するためにプラントの保存工事を行って公園に。現在はピクニックや日光浴など、市民の憩いの場に。


1950年代の姿のまま保存されているプラント。


ユニオン湖畔に位置するガスワークパークでは、対岸のシアトルの街が一望できる。写真を撮ってる間に何隻もの船が行き交い、上空からは飛行機が何機も水面に降りてくる。こんな光景は日本で見ることができず、なかなか面白い。

マリンスポーツも当然の如く盛んであり、あちこちで水と親しむ市民の姿を見ることができる。街を歩いても、少し郊外まで出ても、とにかく被写体に事欠かない。

シアトルと言えばイチロー選手。生のイチロー選手を見たのはこれがはじめてだが、セーフコフィールドの至る所にイチロー選手の写真が飾られ、シアトル市民にとっては「私たちのイチロー選手」といった様相。遠く異国の地で活躍するイチロー選手の偉大さというものを、まざまざと感じさせられた。日本人だとか、アメリカ人だとか、そんな枠を超えて、イチロー選手はイチロー選手なのだ。アメリカの球場に入ったのも今回が初めてだったが、日本の球場と何か雰囲気が違うと思いませんか? そう、内野席にあの邪魔なネットが殆ど無いのだ。ホームベース後ろにほんの少しある程度で、おかげでプレーする選手が身近に感じられる。このあたり考え方の違いが如実に表れて面白い。

セーフコフィールドを後にして、ちょうどシアトルシンフォニーの定期公演が行われているとのことで、Scottさんに招待していただいた。Scottさんは年間を通じて鑑賞されているそうである。クラシックを生で聴くのは実ははじめて。しかし入りの多さに驚く。初老のご夫婦がフォーマルな装いで睦まじく手を繋ぎ会場に入っていくのを何組も見たが、若い人達もかなり多い。皆、熱心に演奏に聴き入っていた。

アメリカといえば、食べきれない大きさの肉に、シアトルといえばシーフード。Scottさん自らによる素材を活かしたディナーをご馳走になった。

まずはロブスター。袋から取り出すと・・・まだ生きているのだ。

「何度やっても苦手なんだよー」と、ひと思いにザックリと2つに包丁を入れるScottさん。

塩で味を調え、テラスにあるガスオーブンであとは焼くだけ。シンプルな調理方法だが、ここまで新鮮だとこれがベストだ。

つけあわせの野菜も。これがまた、それぞれ濃厚な味わいで絶品。

お次はビーフ。目眩がしそうな厚みだ。日本のものより肉質は筋張るが、決して硬いというわけではない。むしろ脂身が少なく、こちらのほうが好みという人も多いのではないかと思う。

事前にチンチンにフライパンを熱しておいて焼くのがScottさん流。

肉厚なのはもちろん、歯応えがあって味わい深い。そして飽きないのだ。

濃厚な味噌、プリプリの身。私にはもったいない食事、本当にご馳走様でした。

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