「レンジファインダーな人達」と銘打ち、レンジファインダーカメラを愛し、写真を愛する皆さんを紹介しようという企画が持ち上がった。編集長曰く、「カメラやレンズの話だけでなく、レンジファインダーカメラを愛する人の、その人となりや、写真に対してのスタンスそしてアプローチなど、もう少し濃い記事を」とのこと。果たしてまわりに記事に相応しい人物が居るのか。唸らされる写真、人柄、哲学。レンズとホッピー握って、物欲と買ってしまったことに対する言い訳を小1時間並べ立てるお茶目な人はたくさん居るものの、困った、まるで思いつかない。1人だけ心当たりがあるのはあるのだが・・・と、恐る恐るメールを1通。「私なんかが役に立つのであれば」とご快諾をいただき、このたび編集員Kが皆様に素敵なレンジファインダーの使い手をお一人ご紹介したいと思います。

今回ご紹介するのは米国在住のScott Tsumuraさん。お仕事の関係で40歳半ば過ぎてから渡米され、現在に至ります。現在はゲーム開発及びコンサルタント会社のエグゼクティブプロデューサーとしてご活躍中であり、シアトル近郊のベルビューという街にお住まいである。「Scott」というお名前は、お持ちである米国のパスポートにも記載された、ある種の本名である。・・・このあたりのお話しは後ほど。

そもそもScottさんと知り合ったきっかけは、皆さんもよくご存じの銘玉(迷玉?)のThambar9cm f2.2というレンズの作例を探していて、その際に素晴らしいカットを多数掲載されていたScottさんのblogに出会ったことである。レンズそのものがクセの塊のようなもので、なんとなくそれに振り回されそうなもの。しかしScottさんのThambarで撮られたカットは、そのクセを上手く活かされて、静かで幻想的、そして撮り手の確かで温かい目線を感じさせる、まるで中世の世界を描くかのようなものだった。「一体どんな人が撮ってるんだろう?」と、毎日blogを眺めるように。年に数回日本に来られる機会があり、いつしかその度にお会いするようになった。親子ほどに年の離れた私が、毎度一方的に話しに話し、Scottさんは毎度嫌な顔一つされず、にこやかに「うんうん」と。しかし考えてみれば、1度も写真の撮り歩きなどをご一緒させていただいたこともないし、毎度1-2時間程度お話しする程度だった。詳しくはお聞きしたことがないが、聞きかじるだけでも、それはそれは色々な経歴をお持ちである。これは相当面白いお話が聞けるのではないかと、米国のご自宅まで押しかけた次第である。はじめて腰を据えて色々なお話を伺ったのだが、なるほど写真にScottさんの人となりが。ともかく皆様にご紹介したいのです。

(聞き手・撮影 / K)

< 前のページへ

このページの上部へ