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正直なところ「ライブビューが付いたカメラなんてM型ライカじゃない」と思っていました。ところが実際にLEICA Mを使ってみた今では、ライカをライカらしく使うためにも、そしてライカをもう一歩深く使うためにも、ライブビューは無くてはならない物のように感じています。SHOOTING REPORT第3弾は、M型ライカにライブビューがつくとどんな具合に撮影ができるか、紹介したいと思います。それだけじゃつまらない? はい、わかっております。皆様にMマウントレンズの楽しみを感じていただけるよう、すべて焦点距離50mm、新旧6本のレンズで撮影しました。レンズの描写の違いも併せて、ご覧ください。

( 写真・文:A.Inden )

直感的な露出のコントロールが可能に

多くの方が露出はオートを使われていると思います。近年のデジタルカメラは性能も良く、ほとんどの条件下で良好な画が得られるようになりました。ただ逆光や明暗差があるシーンなど、いざ撮影してみると「こんなはずじゃない」という経験をされることも多いのではないでしょうか。普通ならここで露出補正を使うわけですが、Leica Mならマニュアル撮影のほうが早いのです。シャッターを半押しにしたら、右手の指先でシャッタースピードを回すか、左手の指先で絞りを回すだけ。ファインダーに写る像がそれに合わせて変化しますから、露出のコントロールが経験値ではなく目で見て行えると言う事です。M型ライカの直感的な操作にライブビューによるフィードバックが加わると、現場でできることは大きく変わりますよね。露出補正ではできなかったような思い切ったオーバー・アンダーも簡単ですから、色々と試してレンズのポテンシャルを探ってみましょう。

まず1本目はSUMMICRON-M f2.0/50mmの最初期。このレンズ、少し逆光気味の光で露出を明るくして撮ると、柔らかな優しい描写をします。ただその「いい具合」を見極めるのが、なかなか難しいのですよね。学校帰りの女の子たち、ライブビュー露出計でハイライトが少し飛ぶぐらいの明るさで撮影してみました。

この奥行きを感じられる自然なボケ味と、少しハロが残ったハイライトのにじみ具合、美しいですね。

2本目はPlanar T* 2.0/50 ZM。現行レンズに非球面が多くなってきた今、貴重な球面レンズです。あくまでも個人的な好みと断りを入れさせていただきますが、「プラナーは都会をアンダーに撮ると最高のレンズ」だと思います。だいたい-1から-2ぐらいでしょうか。すみません、ライブビューで露出を決めるとこの辺のところが怪しくなってしまいます。

レンズの魅力を隅々まで発見できる

ライカのレンズは特徴的なボケ味とその美しさで、多くの撮影者を魅了してきたように思います。でもその微妙な癖まで使い切って撮影する事は、悲しいかな今までは難しかった事でした。ライブビューで実際の仕上がりの画を確認できるようになると、納得いくまで追い込んだ撮影が可能になります。「レンズの力を使いきっていないのでは」なんていう不安からも開放される。なんと幸せな事でしょう。フルサイズのセンサーでレンズの描写を隅々まで堪能できるLeica Mは、無数にある魅力的なレンズを楽しむにはこれ以上ない道具です。かつて使い込んで今は埃をかぶったレンズにも、まだ気がついていない魅力が隠れているかもしれません。とても使いこなせないと思ったクセ玉こそLeica Mで遊ぶにはもってこい。オールドレンズを求めてさまよう日々が、また始まってしまいそうです。

少しアンダーな露出で白いドレスのディテールを表現してみました。ウインドウのガラスに映った都会の風景のボケが、ピントが合っているところに重ならない事を確認しながら撮影しました。

3本目はSUMMILUX/M f1.4/50mm(第3世代)。シグマDP2メリル用のクローズアップレンズを付けてのムービー撮影です。光、ピントの位置の変化でこのレンズの特徴が変わっていく様がよくわかるのではないでしょうか。

4本目はSUMMICRON-M f2.0/50mm(沈胴)。SOMKYをつければデジタルライカMで接写ができる貴重な存在です。かなり暗い条件ですが、ライブビューのおかげでピント位置とボケ具合を探りながら撮影することができました。

シビアなピント合わせなら、Mの出番

さてライブビューでピントを追えるとなれば、使ってみたいのはノクチルックスですよね。ノクチの開放値は、その世代によりf1.2/f1.0/f0.95とありますが、どのレンズも被写界深度は紙一枚の薄さです。目にピントを合わせたくてもまつ毛に合っていたり、レンジファインダーで開放を使いこなすのはかなり難しい事でした。さらにピントを合わせたい場所が中心にないような場合はさらに難易度が高くなり、中央でピントを合わせてからフレーミングをしてフォーカスリングを勘で少しだけ動かす、なんて神業のような芸当をしていたものです。Mならライブビューとフォーカスエイド(5倍10倍)によって紙一枚の薄さでも正確にピントが合わせられます。今まで「良かった、ピントが合ってた!」なんていうことで満足していた(?)ノクチ開放、Mなら写真本来の楽しみ方ができます。ぎりぎりのピントで、シャープな描写から流れるようなボケ味を、おおいに楽しんでください。

5本目はNOCTILUX-M f1.0/50mm(第2世代)。ライブビューを見ながら、フロントウインドーの水滴にフォーカス。1.0は開放でなかなかシャープに撮れないと思っていましたが、正確にピントが合うと素晴らしく立体感のある描写をしますね。

夕暮れ時の自転車のサドルが、周りの景色のなかに浮かんでくるように表現されています。これぞノクチ開放の魅力だと思いませんか?

画面の中心にない被写体でも立体感を頼りにして、明るい光の条件では思った以上に正確にピントを合わせる事ができました。

6本目はNOCTILUX-M f1.2/50mm。今や絶滅危惧種となったノクチの第1世代ですが、うまく背景を選べば、しっとりとした空気感を画面全体で表現してくれます。ただこのレンズ、1.0よりもさらにピントが薄い印象で、開放の撮影ではそれこそ薄氷を踏むような慎重さが必要になってきます。残念ながら今現在Mのフォーカスエイドは中心のみ、10倍まで拡大してのフォーカシングは中心のみになってしまいました。

 

「M型ライカをライブビューで楽しむ」という発想は、昨年のフォトキナで初めてMに出会った時、まったく想像もできない事でした。Mのレンジファインダーを30年以上使い続けてきた脳細胞には、ちょっと受け入れがたい衝撃だったのです。「これはMとしては邪道、絶対買いません」とフォトキナで編集長に宣言した舌の根も乾かないうちに、実際にMが手元に届くと「便利です、もう手放せません」なんて言い出す始末。「レンズは開放で撮るのが一番」「ライカのレンズのボケ味は最高」と思っていたのですから、当たり前の事かもしれませんね。

M型ライカの良さは使い込むうちに身体と一体になるような、道具としての完成度の高さにあると思います。ライブビューやEVFでの撮影は光学のレンジファインダーに比べれば当然テンポが落ちますが、どちらも併用できるボディですから撮影スタイルやシチュエーションに合わせて使い分ければいいわけです。時にはレンジファインダーで軽快にスナップしたり、時にはライブビューでじっくりと撮影したり。筆者と同様に「こんなのM型ライカじゃない」なんて思っている辛口のライカユーザーにこそ、使っていただきたいボディだと思います。きっとぶつぶつ言いながらも「なるほど、これもアリだな」なんて感じるに違いありません。M型ライカは常に「あるべき姿」を追求してきたカメラなのですから。

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ライカM型の新しい形。これからのスタンダードは、このボディです。

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日本市場ではシルバーの人気が根強いとのこと。やはりカメラらしい姿ですよね。

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ライブビューでの撮影は液晶モニタでも可能ですが、できればEVFをつけたいところ。カメラとの一体感ある撮影が可能です。

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Rレンズもお持ちですか? でしたらこちらもお見逃しなく。

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