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M型ライカのアイデンティティは、ともかくシステム全体でコンパクトであること、レンジファインダーを搭載すること。そしてユーザにとって、サイズが変わらないこと、M型らしい意匠を失わないことが重要なのだと思います。LEDでブライトフレームをファインダーブロックに浮かび上がらせることで、採光窓は無くなり、右手親指でホールドができるダイヤルの新設など、ルックスにも変化は見てとれますが、それでもやはりM型ライカらしいルックス。CCDからCMOSに置き換わったことで得られるメリットはライブビューと動画撮影機能の実現でしょう。ライブビューは、これまでフレーミングの難しかった超広角レンズの使用を容易にし、レンジファインダーの基線長の関係から測距精度に不安のあった超望遠のフォーカシングを助け、ノクティルックスのような超大口径レンズの厳密なフォーカシングを実現してくれます。動画撮影に至っては、フルサイズセンサーで始めてライカのレンズを通して撮影を可能に。当然、消費電力は増え、バッテリーを大型化することになりますが、ボディはM9/M9-P/M-E/M Monochromと変わらないサイズを実現しています。子細に見ると、バッテリーの大型化に対応すべく、実に事細かな工夫を積み重ねて同一のサイズを実現しているのです。撮影中、パララックスの関係で16mmあたりの超広角レンズ、小さなブライトフレームでフレームを強要される超望遠などは、ともかくライブビューのありがたさが身に染みました。カップの前縁にピンを持ってくるフォーカシングも然りです。そして、ライブビューを多用しても十二分のバッテリー容量。ボディの使い勝手は大変良好でした。

さて、画の方ですが・・・。M9/M9-P/M-Eは、いわば最初にリリースされたM8のAPS-Hセンサーをフルサイズまで拡大したようなものです(画素ピッチはM8シリーズ、M9シリーズ同一です)。そして今回の「ライカ M」は、デジタルM型ライカ初のフルモデルチェンジと言ってよいと思います。実際に使用する前から、画はガラっと変わるだろうなと思っていました。スペックを見てもそう思うのですが、何せ最初のM8から少しばかり時間が経ちました。各社のデジタルカメラが、軒並み1ピクセルあたりの画作りが洗練され、階調も見違えるほどよくなっているのです。M8の画が現在においてもかなりの説得力を持つライカ。「ライカ M」になると一つ次元が上がるだろうなと想像していたわけです。そして、想像通りでした。

先代モデル同様、ローパスフィルターを持たず、画素数の大幅アップによって、さらに尖鋭度が増しました。何より階調が素晴らしいのです。先代モデルも階調再現に不満があったかといえばそうでもないのですが、それでもあからさまに深みと厚みが増した印象です。ライカといえば、少し癖のあるホワイトバランス。このあたりも随分ニュートラルになり、初めて使う方でも取っつき易くなったと感じます。そして、作例の中にはISO3200で撮影したものもありますが、高感度の画も見違えるほどよくなったように感じます。ノイズレスではありませんが、等倍で見ればまるでフイルムの粒子です。このあたり実にライカ社らしいのではないかと思います。叩き出す画は、完全に一つ次元が上がった、そんな印象です。

一眼レフ黎明期に、ライカ社は一眼レフシステムに対して力を注ぐのが足りず遅かったわけです。そこから根気よくレンジファインダー式のM型を作り続けてきました。R型のセールスも思うように進んだとは言えないでしょう。ずっとM型の呪縛にがんじがらめになってきた印象が拭えませんでしたが、考えてみれば、今で言う"元祖ミラーレス"と言ってよいのがM型ライカです。普段はレンジファインダーで素早い測距、このシステムが苦手とするレンズ群は背面の液晶でのフレームを可能とし、デジタル時代になってM型ライカの弱点を拭い去ってしまうのですから面白いものです。往年のレンズにタンバールのようなソフトフォーカスレンズがありますが、これを背面液晶でフレームするのはなかなか難しいでしょう。むしろ、一眼レフのようなピントグラスで見るよりも、レンジファインダーの方がフォーカシングし易いはずです。厳密な精度はともかく、ノクティルックスのような超大口径も同様です。しかし、どうしても髪の毛一本レベルで厳密にピントを送りたい。そんなときに背面液晶でフォーカスできる。そんなブレークスルーが「ライカ M」なのです。こんなことを書いちゃってよいかわかりませんが、究極にフランジバックの短いM型。世界中の名玉の受け皿にもなります。ライカのフルサイズセンサーの画で。究極のミラーレスカメラ、そう言ってもよいかもしれませんね。

以下、簡単に作例の解説をさせていただきます。なお、フォトヨドバシでは「ライカM」の2nd、3rdレポートをバンバンお届けしたいと思います。オールドから他社製レンズの画を、もう少しキチンとした検証記事を(笑)どうぞお楽しみに!

(写真/文:K)


LEICA TRI-ELMAR-M 1:4/16-18-21mm ASPH.
京都祇園近くの建仁寺にて。撮影不可というところが多いのですが、こちらのお寺は基本的に全て撮影OKです。京都らしい光景を撮りたい方にはちょっとおすすめのお寺。TRI-ELMARは、ライカM以前では正直苦手なレンズでした。21mm以下となると、パララックスが非常に厄介。しかしライカMでは背面液晶でパースも確認できれば、視差の無いフレーミングもできます。ディープシャドーから立ち上がる階調の連なりが実に美しいですよね。



LEICA ELMARIT-M 1:2.8/28 mm ASPH.
同じく建仁寺にて。ISO800ぐらいでは何の不満も無い画質。屏風の前で皆さん正座して眺めている、そんなシーンで、本当に静かで品のよいシャッター音は場の雰囲気を壊しません。しかし、これまでであれば現像時に色々とパラメータを触ることが多かったのですが、ライカMは撮ったまま現像するのが一番よさそうな雰囲気。それぐらい画が作り込まれています。コントラストといい、ホワイトバランスといい、文句がありません。RAWとJPGの落差も殆ど感じませんから、随分進化したなあという印象です。


LEICA SUMMILUX-M 1:1.4/35mm ASPH.
後ボケが少しガサつきますが、実によいレンズだと思います。画面内かなり輝度差のあるシチュエーションですが、ダイナミックレンジもかなり広い印象。シャドーのしまりも素晴らしい。しかしずっと眺めていたくなる光景でした。


LEICA TRI-ELMAR-M 1:4/16-18-21mm ASPH.
階調の厚みが出ると、こんなおぼつかない光で撮った画もサマになります。ごまかしのコントラストではなく、豊穣な階調から自然に作り出せるコントラストなのですよね。TRI-ELMARでは迷わず背面液晶でフレーミング(笑)かなりの猛者じゃないとレンジファインダーのほうで撮影は厳しいと思いますが、どうなのでしょう??


LEICA TRI-ELMAR-M 1:4/16-18-21mm ASPH.
21mm以下となると、ほんの少しカメラを振っただけで画がガラっと変わります。実際問題として、プライベートの撮影で標準域はライカ、超広角や望遠は一眼という組み合わせでよく撮影してきました。これからライカだけで済んでしまうとなると荷物が軽くなって嬉しい(笑)ISO3200で撮影していますが、私はこれに一番驚いてしまいました。他社製カメラなら驚きはしませんが、ライカです。本当に高感度特性は見違えるようによくなりました。


LEICA SUMMILUX-M 1:1.4/35mm ASPH.
旅館の窓から見える枝が美しくて、いろんなフレームを試し、もっとオーソドックスなフレームのものも撮ったのですが、こちらを採用。ピンを置いた部分のシャープさ、立体感が、このレンズの最も素晴らしいところだと思います。


LEICA TRI-ELMAR-M 1:4/16-18-21mm ASPH.
このサイトがリリースされた頃、M9でこのレンズを使いました。ちょっと硬めかなあと感じていましたが、ライカMと組み合わせると、実によい塩梅。このあたり、階調特性の違いが如実に表れていると感じます。海外の歴史ある街を訪ねると、その様式美に心を奪われますが、日本にだってこんなに美しい世界がありますよね。


LEICA SUMMILUX-M 1:1.4/50mm ASPH.
何フレームのカットを撮ったでしょうか。露出のバラしを含めて、このトーンにまとめたかったのです。階調があまりにもよいので、何度もトライしてみたくなるのです。たった一輪、これで世界を作れてしまうのですから、日本に生まれてきてよかったと思える光景。全てがシャドーに潜り込んでしまうような画、ライカMを手にしたらトライしてみてください。ハマりますよ〜



LEICA SUMMILUX-M 1:1.4/35mm ASPH.
デーライトで撮っていますが、M9までは少し黄色に振れて、現像時に手入れが必要でしたが、こちらはストレート現像。かなりニュートラル方向に色味が変わっています。


LEICA TRI-ELMAR-M 1:4/16-18-21mm ASPH.
建仁寺の庭ですが、私が撮影する前に女性二人の外人さんが、コンパクトデジタルで一生懸命撮影していました。曰く息をのむ光景だそうです。何度撮っても上手く撮れないというので、モニターを見せて貰いました。ははあ、なるほど。線の捉え方が国境を越えると違うのかなあと感じた次第です。このレンズほど広角では無いので限界はありますが、似たようなフレームで代わりに撮ってあげると、凄く喜んでくれました。京都のお寺はとても美しく、たくさんシャッターを切るけど全く上手く撮れないと言ってました。自国で見たことが無いものですものね、考えてみれば。しつこいようですが、背面液晶でのフレーミングは最高です(笑)


LEICA SUMMILUX-M 1:1.4/35mm ASPH.
JR二条駅にて。随分と凝った屋根です。海外に行くと毎度駅舎が格好いいよなあと感じるのですが、日本にもこんな駅が増えて欲しいものです。

 


LEICA SUMMILUX-M 1:1.4/35mm ASPH.
時代劇の聖地? 嵯峨の大覚寺の池で。レンズはオート検知としていましたが、補正が入っているのか周辺の色転びなどは見受けられません。周辺減光はあんまり補正しないあたりがライカらしいですよね。


LEICA SUMMILUX-M 1:1.4/50mm ASPH.
京極のあたりを歩いていたら、朝の光が差し込む様が綺麗で撮ったカット。しかしこの50mmは、ちょっと他では味わえない、そんな佳さのあるレンズです。


LEICA ELMARIT-M 1:2.8/28 mm ASPH.
こちらもTVのロケなどで、よく登場するあたり。鳩達が気持ちよさそうに日向ぼっこしているところに割って入ったら、途端に飛んで行く。ガシガシとシャッターを切って、ちょうどよかったカットをセレクト。


LEICA SUMMILUX-M 1:1.4/50mm ASPH.
この写りです。従来機だと、もう少し明るくか、暗めのどちらかに振るシーンですが、見たままの光量でまとめられるあたりが嬉しいのです。解像力も大事ですが、それよりももっと大事なのが階調のよさ、豊富さなのだろうと思います。

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使い込んで真鍮が覗くブラックペイントか・・・

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いや、ライカと言えばシルバー? 何にせよ、写りは一級品です。

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バッテリーはかなり持つ印象ですが、ノクティルックスで動画を・・・と欲望を満たすのに是非どうぞ。ちなみに先代機とはバッテリーサイズが異なりますので流用不可です!

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複数のバッテリーを持つなら、充電器も複数ある方が便利ですよ。

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Rファンの皆様、ぜひこちらをどうぞ。EXIFデータへのレンズデータ反映など使い勝手に富むアダプターです。

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これを取り付ければ、デジタル・ヴィゾフレックス! 背面液晶よりもフレーミングしやすいシーンもあるかと思います。

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