Leica M Monochrom Typ246, Leitz Elmar 3.5cm F3.5, Photo by Naz

ライカ×モノクロ×オールドレンズ カメラひとつで旅に出る。

第二回 喜多方編

8月の終わり、成田山・佐原編の際に購入した「青春18きっぷ」がまだ使えるということで、夏休みっぽくできるだけ遠くへ行ってみることにしました。さすがに"なりゆき"というわけにもいかず、事前に地図や時刻表を眺めながら行き先を決めます。ある程度の撮影時間を確保しつつ鈍行列車で日帰りできるところとなると、片道300kmぐらいが限界でしょうか。いくつか浮かんだ候補のうち、決めた行き先は福島県会津地方の喜多方。蔵とラーメンが有名なところです。新宿駅を7時半過ぎに出て、5回乗り換え、到着は13時24分。帰りは喜多方駅17時46分発の郡山駅行きが最終となり、新宿駅着は23時50分(笑)。喜多方での滞在時間は4時間ほどとなりました。時刻表によれば、途中の赤羽駅・宇都宮駅・黒磯駅・郡山駅・会津若松駅での乗り換え時間は5〜10分程度と接続はよいものの、途中下車での寄り道は難しいようです。また乗車時間は長くても80分ですから、深い居眠りもできません。宇都宮駅から先は乗り換える度に車両も短くなり、夏休みの終わり間近という時期のせいか、平日でも学生さんやご年配の18きっぷな方々が多く、宇都宮〜黒磯駅間は座ることすらできないという有様でした。天気は晴れ、持ってきたタブレット端末にもだんだん飽きてきます。新宿駅で購入した「チキン弁当」は早々に食べ終えてしまい、喜多方駅へ着く頃にはまたお腹が空いてきました。

( 写真 / 文 : Naz )

Leica M Monochrom Typ246, Leitz Summaron 2.8cm F5.6, Photo by Naz

ようやく辿り着いた磐越西線・喜多方駅。2枚目に登場しますが、ここまで約5時間半もの移動をしております。普段の通勤も1時間程度、年に2度の帰省ですら2時間半ですから、へろへろになります。福島駅を過ぎたあたりからだんだん空が暗くなってきました。スマートフォンで雨雲の動きをみると(便利になりました)、喜多方付近でもにわか雨が降っているようです。タブレット端末など散策時に不要な荷物は駅のコインロッカーへ入れ、念のため折りたたみ傘は持って歩くことにしましょう。喜多方を訪ねるのは数年ぶりです。

お昼ですから、まずは腹ごしらえとなるわけですが、喜多方ラーメンの名店坂内食堂は平日でも行列していました。ありつけたのは並び初めてからちょうど1時間後。気温が30度もありましたから、今回は「冷やしラーメン」をいただきました。冷たい水で締めた麵のもちもち感は冷やしならではのもの。こちらはとんこつベースのスープではなく、かつおだしの効いた醤油ベースです。営業時間は7時〜18時、朝ラーメンなんて憧れますが、前泊必須ですね。お店は喜多方駅から徒歩15分ほど。喜多方市役所の裏手、古い建物が点在するエリアあります。

坂内食堂
福島県喜多方市細田7230
http://www.ramenkai.com/list/detail.php?i=24(喜多方・老麵会)

Leica M Monochrom Typ246, Leitz Summaron 2.8cm F5.6, Photo by Naz

喜多方にある蔵の数は、実に4000を超えるそうです。"重伝建"のような美しく整備された古い町並みとは異なりますが、町の中に古い建物が自然と溶け込み、共存しています。生活感のある1枚、かなり暗い状況でした。

Leica M Monochrom Typ246, Leitz Summaron 2.8cm F5.6, Photo by Naz

町は高齢化が進んでいるのでしょうか。観光客には若い人も見かけますが、住んでいる人は少ないようです。表通りから入ると、廃屋や空き地が目につきます。調べてみるとこの10年で15%ほど人口が減っているそうです。会津地方では有数の観光地ですが、いわゆるガイドブック的な場所を巡るよりも、そこから1本中の道を歩いてみると、その町の表情が見えてくる気がします。

Leica M Monochrom Typ246, Leitz Summaron 2.8cm F5.6, Photo by Naz

1911年に作られた「金田洋品店」の建物。雲の切れ間から時折射してくる光を捉えてみました。空が白飛びせず、レンガの壁が潰れないギリギリのところを狙います。カラー写真にはない、モノクロ写真らしい露出ですよね。

Leica M Monochrom Typ246, Leitz Summaron 2.8cm F5.6, Photo by Naz

「吉の川酒造店(よしのかわ)」のレンガの塀。喜多方の町は、江戸時代に豊富な米作と良質な水による酒造が盛んとなり、その麹を応用して味噌や醤油の醸造へと広まり、醸造を行う場として多くの蔵が作られたそうです。喜多方の歴史は福島県ホームページにある「喜多方の歴史 ~まちづくり・みちづくりの歴史~」が詳しいです。

Leica M Monochrom Typ246, Leitz Summaron 2.8cm F5.6, Photo by Naz

こちらは1790年創業の「大和川酒造(やまとがわ)」。時間があるならば、中までお邪魔したいところではあります。

Leica M Monochrom Typ246, Leitz Summaron 2.8cm F5.6, Photo by Naz

1755年創業の醤油・味噌醸造元「若喜商店(わかき)」。現在、右側の建物は駄菓子などを売る「若喜.昭和館」になっています。こういった古い建物はモノクロがよく合いますね。

Leica M Monochrom Typ246, Leitz Summaron 2.8cm F5.6, Photo by Naz

米沢街道沿いにも蔵や古い建物が点在しています。味噌・醤油の醸造元「金忠(かねちゅう)」。創業年はわかりませんでしたが、現在7代目、180年以上続いているそうです。広い敷地にはカフェも併設。

Leica M Monochrom Typ246, Leitz Summaron 2.8cm F5.6, Photo by Naz

喜多方の町は静かで歩いている人も少なく、人物の入ったスナップ写真はなかなか撮れないのが悩ましいところ。3時間ほどかけて町を2周分ぐらい歩きましたが、写真になるのは駅から10〜15分ほど歩いた喜多方市役所を中心としたエリア。それなりにしっかりと歩ける靴がよいでしょう。

Leica M Monochrom Typ246, Leitz Summaron 2.8cm F5.6, Photo by Naz

今回、M Monochromにマウントしたのは1957年製の「Leitz Summaron 2.8cm F5.6」。オールドレンズらしいフレアが実にいい感じです。現代の光学的にみればよくないものでしょうが、人の目だって暗いところから明るいところへ出たときには、こんな風に眩しく見えて目を細めますよね。最終列車まであと1時間、そろそろ駅へ向かうことにします。

お昼に冷やしラーメンを食べてしまったことで、心残りとなっていた普通のラーメン。お店の前を通ったら、お昼頃の混雑も落ち着き、すぐいただくことができそうです。まだお腹は空いていませんが、東京まで約300km、腹ごしらえは必要です。心惹かれた「肉そば」(所謂チャーシュー麵)はぐっとこらえて、「中華そば」をいただきました。あっさりとしながらもコクのあるとんこつスープが実に旨い。いい具合に脂のある叉焼もたまりません。もちろんこちらも完食しました。


再びの、坂内食堂
福島県喜多方市細田7230
http://www.ramenkai.com/list/detail.php?i=24(喜多方・老麵会)

Leica M Monochrom Typ246, Leitz Summaron 2.8cm F5.6, Photo by Naz

旅の終わりに

日没にはまだまだ時間のある季節でしたが、ご覧の通り、お店を出た頃には空がかなり暗くなっていました。駅まで戻ってすぐ強めの雨が降り出し、その後福島県を抜けて栃木県に入るまで降り続いていました。喜多方での撮影時間は食事を含めて4時間。この規模の町ではもう少しゆったりと写真を撮れるとよかったな、と感じました。何度目かならまだしも、初めて訪れるならば、もっと時間をかけた方が楽しめるでしょう。中身がないのでごっそり省きますが、帰路もきっちり6時間鈍行に揺られました。宇都宮駅〜新宿駅間はグリーン車がおすすめです。乗車前に購入すればわずか980円(休日は780円)。途中の乗り換えでは、往路と同じく駅弁を買う時間もほぼないため、喜多方駅の売店で仕込んでおいだビールとつまみが役に立ちました。帰ってきてすぐは「しばらく乗りたくない」なんて思いもしましたが、冬になり青春18きっぷの季節がまたやってくると「雪の降る厳しい季節の喜多方もいいな」なんて魔が差してきたりします。さて、どうしましょうか(笑)。

1957年製 Leitz Summaron 2.8cm F5.6。通称「赤ズマロン」と呼ばれるレンズ。1955〜63年の間に約6000本生産されたそうです。前回使ったElmar 3.5cm F3.5と同様に、非常に小さなレンズです。構成は、レトロフォーカスな広角レンズが多い現代からすると珍しい4群6枚のガウスタイプ。1935〜55年まで作られていたHektor 2.8cm F6.3の後に発売された28mmレンズで、当時は「超広角レンズ」と言ってもいいほどの特別なものだったようです。しかしF5.6という開放F値は、フィルムの感度も高くなかった当時には使いにくいものだったと思われますが、ISO感度を自在に上げられる現在の方がむしろ使い出のあるレンズかもしれませんね。

広角レンズとしては線の細い描写で、60年前のレンズと思えないほど解像感があります。シャープなレンズですが、コントラストは低めなぶん、トーンはよく出るようで、M Monochromとの相性もよいようです。周辺減光が目立ちますが、むしろいい雰囲気を演出してくれているでしょう。開放F5.6では周辺部で像が崩れますが、中心部はなかなかですよね。最短1mですから、ボケを楽しむことは難しいです。今回使用した個体では、光源の入った撮影をすると、内面反射を起因とするドーナツ状の派手なゴーストがもれなく出現するため、残念ながら真逆光や夜間の撮影には向きません。

フードは専用の「FOOKH」。工芸品のように非常に手の込んだもので、縮緬の塗装が美しい一品です。現代のカメラやレンズの価値も異なる時代だから生まれたのものですよね。しかし、現代となってもフードとしては常識外れのプライスで(ネットで調べてみてください)、買ってはみたものの普段使いする勇気もなく、いつもは別のフードを着けています(苦笑)。ファインダーは「SLOOZ」。レンズ・フードと揃えたら、ファインダーも合わせたいところです。
赤ズマロンについて、詳しくは「VINTAGE LENS RHAPSODY Vol.01」をご覧ください。

( 2016.11.21 )







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モノクロしか撮れません。でもそのモノクロはデジタル史上最良といっていいでしょう。趣味のカメラ、尖ってみるのも悪くありません。

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このロケのあと知りました、まさかの復刻!最良のコンディションで買えるオールドレンズといったところになるのでしょうか。気になります、ええ気になります。

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