フォトヨドバシ編集部員「Z II」が自腹を切ってライカを購入。こんなにおいしいネタを放っておくわけにはいきません。これからライカをお求めになる方には自分が手にする時を想像しながら、ライカユーザーの方には昔を思い出しつつ生暖かい目で見守っていただきたい。ライカビギナーによるライカデビューリポートをお届けします。

「早く自分のレンズを買え」

すっかり更新が遅くなってしまいました、ライカデビュー日記第二弾。どうして更新が遅くなってしまったかというと、前回の記事で紹介した借り物のエルマー50ミリf3.5、突然に取り上げられてしまったのです。「いつまでも人のレンズでは本当のライカユーザーとは言えんだろ。」 ・・・ご尤も。しかしこれでは鞘だけをぶら下げたさや侍です。まいった。ボディの支払いが始まったばかりで新品のレンズも買い足しては、わが家の勘定奉行が黙ってはいないはず。うーん、どうしたものだろう。中古のレンズを探してみるか。

「ズマロンとかどうですか。3万円ぐらいからありますよ」
「ズミクロンでしょ」「ロシアのでいいんじゃないの」「ホロゴン探しましょう」
「ノクチ行きなよ。F1.2のやつ」「キャップに穴あけりゃ撮れるよ」

・・・ひとの買い物となると、嬉々として好き勝手なことを言い出す編集部のメンバーたち。
しかし何より問題なのは、どんなレンズを選んだらいいのか自分ではまったくわからないことなのだ。仮にお目当てが決まったとしても、中古のレンズを見て程度を判断できるほどの経験もない。オールドレンズの世界はディープで、初心者が自力で開拓するには少しばかり難儀な世界。やはり、最初は新品を選びたい。

新品で買えるレンズはあるのか?

とりあえずヨドバシAkibaのライカブティックに足を運ぶことにする。なんだこの金銭感覚が狂いそうな値段は。ズミルックス?!これはまず無いな。ズマリットが比較的低価格であるが、それでも15万円。そういえば編集部で1ズマリットとか2ズマリットなんていう単位を聞いた覚えがあるが、このことか?!・・・それはともかく、ズミクロンとの値段の差がよく分からない。たまらず、編集部メンバーに電話をかけてみる。なるほど、F1.4のレンズがズミルックスというわけか。F2のレンズがズミクロン。F2.5のズマリットはエントリーモデルということだろうか。しかしその分コンパクトで、ルックスも良い。

レンジファインダーサイトの作例は穴が空くほど見ていたから、ライカ以外の選択肢も頭をよぎる。50mmのレンズでは、カールツァイスのプラナーやCゾナーが気になっていた。もっと手にしやすい価格だし編集部での評判も良いし、お財布事情から言えばそのほうが正しい選択だろう。しかし「ライカというものを知ろう」と思えば、やはりレンズもライカでなくてはいけない。選択肢がぐるぐると頭を回る日々。そしてとうとうひとつの決断をした。

普通に考えたら高い値段だけど、ライカビギナーならばこれしかない。SUMMARIT-M 50mm F2.5。これが私のファーストライカレンズである。

さて次の難関は、わが家の勘定奉行の説得だ。と言ってももう買ってしまったのだから事後説明ということになり、これがまた厄介な問題である。何の相談もなく金を遣ってくれば、穏やかに済まないというのは私にもわかる。(ズマリットの付いた)ライカM-Eをいつものように首にぶら下げて、特に策も浮かばないまま家にたどり着く。まずは何くわぬ顔で、やり過ごすしかない。

するとどうだろう。考えもしなかったことだが、わが家の勘定奉行は、亭主の首にぶら下がったカメラのレンズがシルバーのエルマーからブラックのズマリットに変わったことにまったく気がついていないのである。おぉ! まったくこれはライカの神様が降臨して、哀れなる子羊を助けてくれたのだろう。あるいは、関心のないものについて人間がどれだけ「見ていないか」という証拠かもしれない。だからこそ「何で同じようなものをいくつも買うのか」というハナシになるわけだが・・・それはまた別の話。

兎にも角にもこうしてライカのボディとレンズを揃えることができ、本当のライカユーザーになれたのでありました。次回はズマリットで撮った写真を載せることができそうです。今回はとりあえず1枚。

(写真・文:Z II)

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