Leica Camera AG、Director Product Management Photoである、Stefan Daniel(ステファン・ダニエル)氏に、LEICA MおよびM-E・M9-Pについてインタビューいたしました。

早速始めさせて頂いて宜しいですか。まず、初めに昨日の発表会ですけども率直に終わられたご感想というのを頂けないでしょうか。

ちょっと、信じられないくらい大きなブースでネットでの反応を見たりしましたが、非常に良かったですね。非常に嬉しかったです。

ステージにこうミュージシャンでも上がって行きそうな。あっ、実際に上がられたんですか?

そうです、そうです(笑)

まるでコンサートみたいなイベントでしたね(笑)

単にカメラを発表する場というだけではなく、ライカの世界観やブランドを体感していただけるような、もっと総合的なエンターテイメント。そんなことをいつも考えています。

まさに、それを感じさせられるイベントでした。カメラの方の話に移りますけど、ライカのユーザーは基本的に保守的なユーザーさんが非常に多いと感じます。フィルムのM型カメラを一生懸命使っている方もいらっしゃったり。新型の「ライカ M」は、これまでのライカ M8・M9に比べて随分と革新的です。新型の「ライカ M」を出すということに対して不安だとかはありませんでしたか?

ユーザの皆さんが、まさに望んでいたものを作ったという風に考えていますので、不安というものはあまり感じていません。今までのようにレンジファインダー機としてもまったく同じように使えますし、新しく搭載された新機能は、今までのものを生かした上での付加機能という形なわけです。それは使わなければ使わなくてもよいのです。そんな考え方に基づいて作られた形なのです。

なるほど。やはりそうなのですね。

先ほども申し上げた通り、基本となる機能に付加機能を持たせたものなので、それはユーザの皆さんの期待を裏切ることにはならないし、ライカも次へどんどん進ん でいかなればならない。そんな位置づけです。

実際、私も事前の噂でおおよそこの姿を想像していたのですが、実際に昨日現物を拝見して操作してみることで、すんなり受け入れることができました。ルックスを含めてですが。

ありがとうございます。

開発で一番大変だったことをお伺いできれば。

一つはこれまでのMボディのサイズをキープする事。新たに搭載されたライブビューを実現するために、より電力を必要としますので大きなバッテリーが必要となるのですが、バッテリーの大容量化を実現しつつ、ボディのサイズをキープする事が大きな課題でした。また、センサーも新たに一から開発したのでスケジュール的に苦労しました。

こんな形のカメラを出すという構想は、どれくらい前からあったのでしょうか。

個人的には12年前から、頭に描いていたのですが、実際にプロジェクトとしてスタートしたのは2年半くらい前からですね。

新型「ライカ M」のおかげで今までのノクティルックスだとか、液晶のファインダーでピントを追えるとなると現実問題として私なんかは非常に嬉しいです。ライカの中毒者というか、ジャンキーはレンズの絞りをほぼほぼ使わない(笑)したがって、これはありがたいですね。

絞りを使わないというのは、開放で撮るということですか?

はい、そうです(笑)

それは、金曜日お会いしていただいたレンズ開発の責任者であるピーターが、絞り込むな、開放で使えといつも言ってます。開放で使うのがライカレンズだと。我々がちょっとクレイジーかもしれませんが、そんな風に考えています。

なるほど。よく理解できました(笑)「ライカ M-E」という新たなモデルが登場しましたが、今までの「ライカ M9」から使用頻度の低いと思われる機能が省略された形だと理解しています。ライカ社としては、「ライカ M-E」をステップに、こちらの「ライカ M」に行ってほしいのか、もっとパラレルに考えておられるのですか?

「ライカ M9」は非常にいい商品だったと思っていて、ユーザからの評判も大変良かったモデルです。それをやめてしまうのはもったいないですし、また「ライカ M9」に投下の開発コストはほぼ償却できていますので、少し価格を抑えられる要素がありました。少し価格を抑えることで、最高の描写力を実現するM型デジタルカメラを、より幅広く楽しんでいただこうと、そんな考えのもと開発したモデルです。

確かに、今までにないアプローチですね。ライカ M9とM9-Pは生産完了になるのですか?

まだ市場に在庫はありますが、ライカ M9とM9-Pはもう終了です。まだ市場に在庫はありますが。今後は、デジタルの「ライカ M」および「ライカM-E」、モノクロ専用機の「ライカMモノクローム」、フイルムの「ライカ M7」「ライカMP」と5つのモデルがあるので、もう二つあると多すぎるので少し絞りました。

かつてライカ社がこれだけM型のモデルを矢継ぎ早に出すというのは、歴史的に見ても無いと思いますが、おそらくこの新型の「ライカ M」に関しても今後熟成が重ねられていって、モデルが変わるときがくると思います。シンプルに「ライカ M」なんて名前をつけてしまったら、あとはどうするのですか?

おそらくMだけで続けると多少混乱が生じますが、逆の意味で言うと、そういうことをやりたかったということなんです。これから2~3年おきに新商品が仮に出てきたとします。その時に2~3年で自分のモデルが旧型になる、数字が変わったらどうしても旧型っていう感じがしますよね。それを避けたかったのです。いつまでも「ライカ M」はMでずっと続けていき、タイプナンバーで「ライカ M(Type ***)」で、ジェネレーションを判別できるようにしようと。

最後に技術的な質問ですが、画素数が「ライカ M9-P」に比べると増えて、なおかつ画素ピッチもかなり小さくなりますよね。この短いフランジバックで超広角レンズあたりをマウントすると、かなり厳しいと思うのですが、これまでの広角レンズの開発などは、このあたりを見越していたのでしょうか。あと新型の「ライカ M」のセンサーでは、そういった画素ピッチが縮まっていったりだとか、極小化していくことに対して、センサー上で何らかの対策を施されているのかを伺いたいのですが。

この図でお分かりいただけると思うのですが、「ライカ M」用に新たに開発したセンサーでは、受光部に対するマイクロレンズのまでの距離を短くしています。ですから、斜めに入ってくる光が、より受光部に届きやすくなっています。

なるほど。ライカM9-PやM9に比べても良くなっているのでしょうか?

「ライカ M8」のセンサーと「ライカ M9」のセンサーは同じプロセスで、深度あるCCDの形状なのですが、いわゆるマイクロレンズのシフト配置を行って、端の方の光を中央に寄せるという形の構成をとっていました。「ライカ M」に搭載される「The MAX Sensor」に関しては、同様の対策が必要がない設計となっていますので、その意味では全く新世代のものですね。

なるほど。様々なメリットが想像できます。今日はどうもありがとうございました。

こちらこそ。ありがとうございました。

 

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