ライカは、いわゆる「ライカ判(35mmフォーマット)」を定義したカメラメーカーです。言ってみれば、今日の写真シーンの原点を作った会社と言って過言ではありません。デジタル時代に突入してからというもの、カメラは過去に無い空前の売れ行きを見せています。この状況を鑑みれば原点を作った会社なのだから、さぞかし華々しい社史を誇るのだろうと思いますが、長い歴史を振り返ってみると、常に順風満帆であったと言うにはほど遠いのです。経営の危機に瀕したり、体制の変遷も幾度となくありました。そのライカ社が、初のデジタルM型カメラである「ライカ M8」をリリースしたあたりから滅法元気に。その様子は、先日お届けしたフォトキナのレポートでも伺えると思います。他のメーカーのカメラと価格だけを比べれば、決して安価とは言えないタグをぶら下げているにも関わらず、堰を切ったかのように既存のライカユーザーにデジタルMが拡がり、新たなユーザーも多数獲得。日本のカメラメーカーの統廃合やパワーバランスの変遷などを鑑みれば、ライカ社の好調を単にデジタル化の潮流によるものと片付けられそうにありません。一体、この元気の良さは何なのか。ライカといえば「ライカ M3」あたりがパブリックイメージと直結している日本ですが、「ライカ M3」と言っても、もう50年以上も前の話です。今回ゾルムス本社を訪ねることで、キーマンの皆さんにお話を伺う機会に恵まれ、本社工場を見学させて頂くこともできました。現代のライカ社そしてライカというカメラは一体どういうものなのか。「現代ライカ解体新書」なんて大袈裟なタイトルですが、本社を訪ねてみて純粋に感じたライカ社をレポートしてみたいと思います。

写真撮影:A.Inden / K
文:K

※ 文中において「Leica Camera AG」を、全て「ライカ社」と呼称を統一しております。なお、過去に遡ると厳密には社名の変遷がありますが、こちらも同様に統一しています。あしからずご了承ください。

 

 

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