90mmといえば長く大きく重いといった印象。レンジファインダーにはコンパクトなレンズがやはりよく似合うし、90mmを積極的に使うユーザをあまり見たことがないのが正直なところ。しかし、適度な圧縮感もあって句読点的に光景を捉え文学的に表現するには面白い画角を持つ。SUMMARIT-M f2.5/90mmは大きな50mmを少しだけ長くした程度であり、これなら鞄に入れるのも億劫にならない。35mm/50mmの撮影の合間に90mmを1本差し込むと、キャプチャするシーンに転調をもたらすことができて表現に幅がでやすい。前述の理由で"食わず嫌い"な人にぜひ試していただきたい。描写傾向は、開放から十分な性能を持ち、絞り込めばシャープさは増すが硬くはならない。ボケ味も素直であり、このあたりの焦点距離が得意とするポートレートなどでも扱いやすいだろう。