LEICA M8の登場と同時期にリリースされたSUMMARITシリーズ。35/50/75/90mmの4本、すべて開放値はf2.5である。開放値を抑えめにしたことで、ライカレンズシリーズの中では比較的リーズナブルな設定に。現行レンズの購入をお考えの皆さんは、特に35mm/50mmの2本は気になっているのではないだろうか。誰しも大口径レンズに憧れるものだが、実際には日中の撮影において、f1.4クラスであればシャッター最高速や被写界深度の関係から数段絞って使うことが多くなる。そんな実質的な話に加えて、大口径であればあるほどレンズも大きくなる。従って普段使いには、このSUMMARITあたりがやはり使いやすい。写りは繊細なイメージで、中庸なコントラスト、球面らしい柔らかく、ある種自然なボケ味。歪曲は皆無に近く、何よりコンパクト。常用レンズとしての資質をしっかり兼ね備えるのがこのレンズの魅力である。一つ残念なのは最短が80cmであること。あと10cmなんとかならなかったのかと思うのだが、こんなセールストークはどうだろう。日頃オールドレンズをこよなくご愛用の皆さんから「現行レンズは味気ない」なんてことがよく聞こえてくる。（客観的に書かせていただくと、ライカのオールドほどクセまみれなレンズはなく、それと比べればどんなレンズも味気なく映るのだが）オールド50mmなら最短は1m、1m以上の距離で撮り慣れている皆さんにこそおすすめしたい。クラシカルな匂いを残しつつ、ライカのオールドほど危うくはない。そしてオールドを愛する皆さんなら、控えめな開放値のレンズの良さがおわかりいただけるだろう。現行の世界を覗いてみたいと思われているオールドファンにおすすめしたい。もちろん、これからライカを手にする人達にも、この渋くて実利伴うチョイスをおすすめしたいのだ。・・・実際によいレンズなのだ。