LEICA M (Typ240), NOCTILUX-M f1.25/75mm ASPH., Photo by A.Inden

NOCTILUX-M f1.25/75mm ASPH.

ライカのレンズ名は開放値によって付けられています。開放値F1.4はSummilux、F2.0はSummicron、F2.8はElmarit、そしてF1.0と最高の明るさのレンズは、夜を意味する“Noct”からNoctiluxと命名されています。今回ご紹介する「NOCTILUX-M f1.25/75mm ASPH.」は、その名の通り最高レベルの明るさを持って誕生しました。焦点距離75mmと開放値F1.25によって生み出される薄い被写界深度は、圧倒的な明るさを持つNOCTILUX-M 50mm F0.95 ASPH.よりさらに薄く、最短撮影距離0.85mでは約1cmと想像を超えたボケ味を見せてくれそうです。ただ、ボケ味がソフトで美しくあっても、肝心の開放での描写がグッと来なければどうしようもありません。新しいノクティルックスは、レンズに異常部分分散性と低分散性のあるガラスのみを採用することで、比較的シンプルな6群9枚のレンズ構成ですが、NOCTILUX-M f0.95/50mm ASPH.をより向上させることに成功したそうです。絞り開放を実用的な絞りとして設定できるようになった新しいノクティルックス、言葉どおり全て絞り開放で撮影してみました。

( Photography and Text by A.Inden )


LEICA M (Typ240), NOCTILUX-M f1.25/75mm ASPH., Photo by A.Inden

美しく良質な空気が写る

LEICA M (Typ240), NOCTILUX-M f1.25/75mm ASPH., Photo by A.Inden

LEICA M (Typ240), NOCTILUX-M f1.25/75mm ASPH., Photo by A.Inden

LEICA M (Typ240), NOCTILUX-M f1.25/75mm ASPH., Photo by A.Inden

日常の風景をシンプルな画面構成でまとめてみました。それが、見えない空気そのものを描写するかのようなこのレンズの特性をご覧いただくには一番いい方法だと考えたからです。実際に空気を写すなんてできないのですが、75mmのノクティルックスで撮れば撮るほどほど、「空気が写っている」としか思えなくなってきました。これまでに多くのレンズを使用してきましたが、このような感覚になったのは初めてです。このように感じさせるのは、本来は異なる前後のボケ味の傾向をほとんど同じにすることで、画面全体に広がるボケ味に一体感を持たせ、雰囲気が統一された均一な画面の中に、ピントが合っている非常に薄い被写界深度の範囲だけを、あくまで自然に際立たせてくれる描写だからです。


LEICA M (Typ240), NOCTILUX-M f1.25/75mm ASPH., Photo by A.Inden

色気

LEICA M (Typ240), NOCTILUX-M f1.25/75mm ASPH., Photo by A.Inden

LEICA M (Typ240), NOCTILUX-M f1.25/75mm ASPH., Photo by A.Inden

LEICA M (Typ240), NOCTILUX-M f1.25/75mm ASPH., Photo by A.Inden

被写体を際立たせるためには、どのように立体感を描写するかが大事になります。そのため、光に力を感じないどんよりとした曇り空は、撮影者にとって難しく取り組みにくい条件です。逆に立体感を出しやすいのは光に力がある条件。つまりそういう条件を選べばピントが合っている被写体は存在感を放つことができるのです。ただ、この日の天気はそうではありませんでした。

ライカレンズの特徴は、被写体を強調しすぎない自然なコントラストにあると思います。この日撮影した写真からコントラストの高さは感じられないのですが、ピントが合った被写体はしっかりと立体感を持ち存在感を見せています。この独自の描写のおかげで、不自然さを感じさせずに被写体を際立たせたいドキュメンタリーの世界で、ライカのレンズが、確固たる地位を築いて来たのではないでしょか。これらの作例の様に本当に光の条件が良いくない時でも、ピントが合ってる被写体に存在感を出す。このノクチルックスもその特徴のある描写を見せてくれていると思います。


ノクティルックスで人物撮影をするのは、慣れないとかなり難しいと思います。EVFをつければライブビューやフォーカスピーキング機能で思ったところにピントを送ることは容易です。ただEVF撮影は、レンジファインダーでの撮影に比べるとタイムラグがどうしても気になってしまい、動いている被写体を思い通りに撮るにはテクニックが必要となってくると思います。

(サムネイル画像のクリックで大きな画像をご覧いただけます)


LEICA M (Typ240), NOCTILUX-M f1.25/75mm ASPH., Photo by A.Inden

独特の透明感が存在するボケ味

大口径中望遠レンズが持つ開放での独特の世界観を堪能させていただきました。レンズのボケ味や描写を表現する言葉が全てぶっ飛んでしまうぐらいの衝撃を受けました。ため息が出るとはこう言うことなんだなと思い知らされました。脱帽です。

「レンズには個性がないといけない」と常々思っています。ただ全ての絞り値において異なる個性があるのではただのじゃじゃ馬レンズになってしまいます。レンズの個性は開放でひっそりと現れるぐらがちょうどいい塩梅ではないでしょうか。

今回撮影したNOCTILUX-M f1.25/75mm ASPH.は、贅沢な特殊ガラスを全てのレンズに使い、独自の光学設計により、開放から極めて優れた描写性能を見せます。そしてそのボケ味までも計算され尽くし、美しく、ソフトに作られています。上手く言葉にできないのですが、水ではなく砂糖水のような透明感のボケ味といえば少しはわかっていただけるでしょうか。独特の透明感を創り出す開放でのボケ味は、歴代のノクチルックスの遺伝子を引き継いだものでしょう。さて、描写は個性がありすばらしいの一言。一番心配な極端に浅い被写界深度もEVFを使うことで完璧にピントが合わせられます。大きさもM型ライカにつけるとなかなかいいバランスと非の打ち所のないレンズですが、人生の伴侶として手元に置いておきたいという気持ちに待ったをかける心の声が…まあ野暮なことは書きたくないのでお察しください。

( 2018.03.09 )




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50mm以外の焦点距離で初めて生まれた「NOCTILUX」、そのDNAは中望遠レンズでも健在のようです。特別な1本、まずは買わねばならぬ理由作りから始めましょう。

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いつでもどこでも開放で撮るPY編集部員のようなあなたに

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