ライカユーザにとって先代ノクティルックスはアイドルな１本だろう。猛烈な周辺落ちに厚みのある色載りにボケ味にf1という開放値。この愛すべきクセにまみれたレンズをリニューアルするとなれば、当然1つも2つも上の次元でリリースすることこそが最善のアプローチだろう。現行は僅かだが明るさを増しf0.95というスペックで登場した。絞り開放から「これがf0.95か？」といった具合に鮮明な像を結び、先代のウリの１つ？であった開放における澱は洗い流され、透き通るようにクリア。パープルフリンジなどの悪癖も完全に払拭。いやはや素晴らしい性能である。先代に比べ価格も大幅にアップ。唯一無二のスペックとこの性能に対して投資に値するのか。それは求めるかどうか、だ。f1.4クラスから1段の深度の浅さと低照度下のシャッター速度の余裕・・・正直なところ一般的にはf1.4クラスで十二分だろう。あとは唯一無二のスペックを必要とするか、このレンズ独特の描写を欲するのか。いずれにせよ、アイデンティティ溢れるレンズではある。