コンパクトさが魅力なMマウントシステム。機構上からも広角から標準レンズに最適化されたシステムであり、なかなか中望遠には食指が。しかし85mmや90mmといえばポートレートなどで定番とされる焦点距離である。手持ちのレンズには無くとも気になる皆さんも多いのではないだろうか。この焦点域のもう一つの特長として、画面に時間軸を写しこめるということがある。適度な圧縮感と同じく適度に狭い画角によって切り取られるため、必然的にレリーズ前後のシーンを見る側に連想させやすいのだ。要するに「画になりやすい」。たとえば街中に出て中望遠1本でスナップする。日頃35mm〜50mmあたりのレンズを使っていると最初は戸惑うが、慣れてくると画作りのしやすさを感じてくるだろう。いつしか画作りのための写真となってしまい、今度はその安直さと格闘する面白さが出てくるほど。・・・レンジファインダーだから広角と標準だけで撮るというのは少し勿体ない。そこに中望遠が1本加わることで、ひょっとすると広角と標準に対するアプローチもバリエーションが生まれるかも。Tele-Tessar T* 4/85はその控えめなスペックから、開放から非常に良好な像を結び、プライスも手を出しやすい。ボケ味も素直で、何よりコンパクト。バッグに1本忍ばせることで撮影がもう一つ楽しくなるのだ。