LEICA M MONOCHROM SHOOTING REPORT 3

フォトキナ開催が近づいてきました。世間では「M型の後継機が出るのか??」なんて噂をよく見かけます。本格的なデジタル時代に突入してからというもの、短いサイクルでのモデルチェンジにもさほど驚きを感じなくなった昨今、このM MONOCHROMはちょっと面白い存在ですよね。1画素がストレートに出力画像の1ピクセルに結実する本機は、デジタルカメラの基本構成として理想型の一つと言えるでしょう。そのうえモノクロ専用機ということで、色分離の善し悪しやその進化とある種無縁、カラーフィルタが無い故の高感度特性の佳さと、デジタルカメラの進化における時間軸から少し外れた位置に存在するカメラだと思うのです。言ってみれば、そう簡単に陳腐化しない。・・・とまあ、大枚叩くのに適当な言い訳を。しかし様々なカメラがCCDからCMOSに変わっていく中、「モノクロ専用CCD」なんて、センサーそのものだけでも何処まで供給が続くか。そう考えると、魅力を感じるならば手に入れておきたいものですよね。

さて、こんなことを並べるまでもありませんよね。今回から、何回かに分けてM MONOCHROMに様々なレンズをマウントして作例をお届けしたいと思います。編集長にドヤされそうですが、筆者も単に一人のライカファンです。マウントできるものならマウントしたい。さていってみましょう。

( 写真・文 / K )

猛烈に落ちる周辺、ハイエストライトは光がこぼれ出すかのように滲む。とにかく硬い描写、しかし艶と色気を感じさせる階調特性。CONTAX GシリーズのHologonは本当に面白いレンズだと感じます。シャッターを切れば、誰でもドラマティックな画が撮れてしまうという腕隠しの名レンズ。16mmとなると若干構えてしまうもの。使いこなしのコツは、あまり考えすぎたり神経質に水平垂直を気にしたりせず、奔放に振り回すほうが良い結果が得られることが多いと感じます。筆者は、どちらかというと光景から音を消し去ってしまうような、そんなフレームでシャッターを切るようにしています。超広角だからとあまり極端に寄ったりせず、逆に少し引き気味に、メインとなる被写体も少し小さめに。そうすると、静寂が支配する少し浮き世離れした画が撮れて面白いのです。

上の作例は、北海道の中央部を流れる忠別川の近くで「森の神様」と呼ばれているカツラの木。なんと樹齢900年超と言われています。雨が降りしきる中、前玉に雨粒がつくと面白い画になるかなと、あえて傘をささずに撮影。カツラの木がなんだか一言二言メッセージをくれるような。。。

北海道の美唄市にある「アルテピアッツア美唄」にて。炭鉱による賑わいが去り子供がいなくなった学校を、同じく美唄市出身の彫刻家・安田侃(かん)さんが進行形で作り続ける、人と自然と芸術がふれあう空間。もし北海道に出向く機会があれば訪れてみてください。心を清々しく洗い、そして丸くしてくれる心地よい空間が出迎えてくれます。長年踏み込まれた床にそっと佇むオブジェ。おぼつかない光の中の床、そしてオブジェの質感を捉えてくれました。しかし素晴らしい階調特性です。


古い木造校舎は美術館でもあり、現役の幼稚園でもあります。平日なら子供達の賑やかな声が聞こえてきます。広大な敷地には芝生が。市民の憩いの場にもなっていたりします。面白いなあと感じたのは、大きな公園でもあり、美術庭園でもあり、幼稚園でもあり、様々な人達の憩いの場でもあり。つまり、いろんな要素や人達がともにこの空間で分け隔て無く接しているこの感覚が面白いと思うのです。こんな世の中だったらどんなにいいだろう、そう感じずにはいられません。


1960年建築の住友奔別炭鉱立坑櫓。1971年に閉山されました。立坑密閉作業中に爆発事故が起こり尊い5名の命が失われたそうです。道内には数多くの炭鉱が存在していましたが、当時の写真を見ると大変に栄えていたようです。今では見る影もありませんが、こうして在りし頃をうかがえる施設が一部現存しています。


北海道といえば夏。清々しい空気に広大な大地。9月に入れば一雨毎に秋を感じさせるようになり、それも足早に駆け抜けていきます。そしてあっという間に人を寄せ付けないような厳しい冬が忍び寄ってきます。ハイシーズンに何時も訪れている方に、9月に足を伸ばしてみることをおすすめしたいと思います。森の中に佇むカフェで、物憂げな雨音を聴くのもよいものですよ。・・・どうでしょうか、M MONOCHROM&Hologonのコンビ。いろんな光景をキャプチャしてみましたが、硬い描写の中に繊細さがあり、MMとも大変相性がよいように感じます。他のM型デジタルとは違って、周辺の色転びに悩まされることもありません。あと2点、作例を載せてみます。


所変わって東京。セミの大合唱です。それでも朝早くで気温も若干控えめな時間帯。この季節独特の刺すような強反射ですが、早朝はその光にも透明感があります。MMを使っていて感じるのは、現実の光景をストレートにグレースケールに変換したようなリアルさ。何だか変な表現ですよね。この表現はデジタルカメラで撮影し、カラーからグレースケールに変換したカットとの違いによるオタクな表現ですね。スカっとキレのよいエッジラインはデモザイキングを不要とする素直な画素配列から、このクリアなヌケはカラーフィルター等で遮られずストレートに光を受け止める所以でしょうか。実に気持ちよい描写です。


MMとHologonの組み合わせは、この世界が光に満ち溢れていることを感じさせられます。強烈な周辺落ちのおかげで四隅は黒に沈み、光に包まれる女性をより際立たせてくれるこの特性が、そんなことを余計に感じさせてくれるのです。MMは漆黒のシャドーから真っ白に飛ぶ光まで極めて厚く、そしてなだらかな階調を見せてくれます。この組み合わせは、かなりハマってしまいますね。まるでモノクロームのブローニーフイルムできっちりと露出を詰めたような描写です。過去の記事でも記しましたが、露出決定は現場でナーバスに。最高のトーンはスキルで導き出せる、そんなカメラです。面白いですよ、キッチリやり切れば、素晴らしい仕上がりが確実にそしてダイレクトに得られるのですから。

マットなブラッククローム。飴玉のような可愛らしい前玉。この組み合わせはルックスも最高です。さて、これからも現行純正/サードパーティ/往年のレンズと色々と試していきたいと考えています。どうぞお楽しみに。

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