現行型のELMARIT28mmは5世代目にあたる。今回は第1世代のものを試してみた。第1世代の特長は非レトロフォーカスであるところ。ボケ味の良さとトーンの豊富さが印象的なレンズである。何本か使用した経験があるが、正直この年代のレンズは1本1本写りが違う。コンディションがそれぞれ違うからだ。佳いものは現代のレンズかと見紛うほどに周辺まで実にビシっと写るが、私が現在使用しているものは開放で結構滲み、いままで使ってきたものの中では、品質という面で言えば一番モノは佳くない。しかし、ヘリコイドグリスが切れかかるような場合に駆動部に限ってのオーバーホールは行うが、レンズエレメントに対してのオーバーホールをしようとは思わない。新品時の写りを知らないので、追っても一定レベル以上は仕方がないとある種思っているのだ。それよりも、その時々の偶然の積み重ねによって堆積したコンディションによってもたらされる写りを愉しもう、とまあ、正直こうなってしまうと「何でも佳い」「どうでも佳い」といった状況である。正直なところ、本記事をお読みの方に何もお伝えできないであろうと思う次第であり、つまりご覧になった通り。ちなみにこの「グズグズなレンズ」、とても気に入ってます。

(文/編集部K)


山奥では平地に比べ日没は早い。山の稜線から1日の終わりを告げる光芒が走る。開放での撮影だが、かなり滲む。またAPS-Cサイズのセンサーで、周辺はかなりトリムされるにも関わらず、かなり光量は落ちる。


土砂降りの中、マウントされていた本レンズの特性を鑑みて、咄嗟にホワイトバランスを変えてみた。開放の写りがヌルいので、フォルティシモからメゾピアノに? 点光源ではコマも見てとれる。


第1世代独特のボケ味。最短付近での撮影。このボケ味が好きで使っているようなものだ。アイスを2つ一緒に食べると言って聞かない、将来が心配な姪っ子に、手前のアイスクリームにピントを持ってくる意地悪でオタクな叔父。蛇足だが、家族に写真好き(カメラ好き)は居ないほうがよい。私の知り合いに、こよなくノクティルックスを愛する方が居るが、何処でもどんなシーンでも常に「絞り開放」。おかげで家族旅行に出かけても、画面中ピントが来てるのが1%程度という、何処に行ったのかさっぱりわからない"記念写真"が量産され、いつも奥様に怒られるという。。


ボケ味の傾向がよくわかる。GXRが作る画は、色調が渋い。私は好みだ。


ビニールの質感が佳く出ている。光はかなり強烈だったが、もともとコントラストのつくレンズではなく、中庸な感じに収まる。フイルムならモノクロ向きのレンズだろう。画角は標準付近となるため、普段使いにぴったり。


程度の良いレンズなら、ピントを置いた部分はもっとシャープ。このレンズではうっすら滲んでしまう。むしろ程度の良い球面ズミルックス35mmのような印象で、程よく滲むのである。オールドレンズは一期一会。フイルム時代と違って、ササっと試せるのが尚更タチが悪い。


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次回は値段も鏡胴もコンパクトなレンズを試す予定。お楽しみに!

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