さて、続くかどうか怪しい「面白い写真講座」の第2回目。「いまいち構図がまとまらない」「画が訴えかけてこない」なんて人に、一定の「決まり事」さえ守っておけば、ある程度写真がまとまるという「コツ」みたいなものをまとめてみたいと思います。この「コツ」とは一体なんでしょう? 早い話、大半の人々が「うんうん」と頷ける、最大公約数的な決まり事みたいなものですね。もちろん写真なんてものは自分が撮りたいように撮ればそれでよいのですが、まあしかし、自分の意図するところをできる限り多くの人に分かって欲しいものです。ならば「わかりやすさ」みたいなものは大事です。「わかりやすさ」というよりは 「気持ちよさ」と置き換えた方がよいかもしれませんね。ともかく、そんな「コツ」を並べられるだけ並べてみたいと思います。

(文/編集部K)

まず、シャッターを切りたいと思った瞬間に「画面を縦横3分割する!」と意識してみてください。そして、縦横の線が交差するポイントや、その線上に見て貰いたい被写体を置くと、たいてい「いい感じ」になります。それはなぜなのか? 理屈を解説しようと思えばダラダラと長くなるので端折りますが、「空が青いと気持ちいい」というぐらい、たいていの人が頷くことだと覚えてしまえばよいと思います。そして、手当たり次第この「画面を縦横3分割」を試してみてください。すると、綺麗に縦横の線が交差するポイントや、分割線上に被写体を配しても、しっくり来ないケースが出てきます。たとえば左上のバーの写真ですが、おじさんは分割線上から少し外れています。綺麗に乗るようにフレームしてもよいのですが、グラスを握る右手が前に伸びています。こんなときは、背中と右手の先のおおよそ真ん中あたりに分割線を持ってくると、塩梅よくなります。右上の写真では、畑を耕すトラクターが写っていますが、こちらは綺麗に縦横分割線が交差するポイントにフレームしています。さて、左右の写真で何が違うのか。それは、メインとなる被写体の面積から「ドンピシャ」だったり「少しずらしたり」といった加減を行っているのです。右上のトラクターのように、画面内で占める面積が小さく、かつ、「畑を耕すトラクター」といった意図で捉える場合、おおよそ「ドンピシャ」に持ってきたほうが、おさまりがよいと言えるでしょう。左上のおじさんの場合、たとえば、まだビールが届かず直立状態にあれば、分割線上に配するのがよいと思いますが、ビールを握る手だけがドン!と突き出て見えない程度に(「おかわり!」みたいな感じにならないように)、分割線上からオフセットして配するのがよいと思います。

なお、分割線上や交差ポイントからの微妙なオフセットは、「させる」「させない」、または「配置や分量」を微妙に変えて、現場で複数のパターンを試すとよいと思います。そのコツですが、被写体の「動きを連想させる」ような形でオフセットを考えるというのがポイントです。

この「縦横3分割」は、ドアップであっても、引きの場合でも、どんなケースでもたいてい適用できることですから、意識してフレームすると必然的に画面が整理しやすくなると思いますので、ぜひお試しください。


黄金比とは、近似値で1:1.618。線分を2つに分けるときに、最も美しい比とされています。なぜ美しいのかはさておき、古代の建築などにも散見される比率であり、大昔から唱えられていたようです。昔の人々が言ってることは大抵正しいのです。せっかくですからこの比率で画面を上のように割っていきます。割られて出来た格子の対角線を緩やかな曲線で結んでいくと巻き貝のようになりますが、この曲線に沿って被写体を配置していくと、よい塩梅の写真が生まれる傾向にあるようです。とはいえ、こんなの現場で「えーと、格子がこうなって、ああなって」みたいなことはできませんよね。なので、お月さんの位置あたりに最も見せたい物を配置する、とまあ、こんな感じで参考程度に。

シャッターを切るときに「ちょっと待って、一体何に反応しているんだろう?」と現場で一考することってありますか? 実はフレーミングの際に、おおよそ上のような要素に反応してシャッターを切っていたりします。もし日頃あまり意識したことが無ければ、一度意識してシャッターを切ってみてください。そこで、ざっとよくある「反応ポイント」をまとめてみます。

この他にも「テクスチャ(質感)」「コントラスト(またはトーン)」などがありますが、自分が感じた面白さを最大限に引き出す構図を「一旦」考えてシャッターを切ることです。そもそも、それをどう考えればよいかという記事なのでしょうけれど、まずは真っ直ぐ撮ることが先決です。それだけでも見る人にもある程度伝わると思うのです(相手が写真を撮る人であればなおさら)。次回以降に、ここで取り上げた要素について作例を並べてみたいと思います。

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何だか「日の丸写真」はダメだ!なんて風潮があったりしますが、私個人的には「あまり気にする必要もないかな」と思います。むしろ、日の丸のほうがより伝わるのなら、積極的に日の丸採用です。世間一般的に求められる作法はあくまで「最大公約数」です。変わったことをしちゃいけないとは誰も言ってません。「こりゃもう、誰がどう考えてズドーン!と真ん中でしょう」と思うのならば、その通り行きましょう。何も間違っちゃいません。ただ、「日の丸である必然性」を考えるとよいのではないかと思います。


お見苦しく申し訳ございません、筆者の甥っ子・姪っ子達でございます。レンズなど向けようなら、押しくらまんじゅうばりにフレームに入り込んできます。もうこんな時はストレートにシャッターを切るに限ります。フレームアウトしながらもポーズを取る次男、きっちり何処が真ん中か認識できる長男、何だかよくわからないけれど入らなければならないという使命感に駆り立てられて微妙な表情の長女。正直撮り手がどうであるとか、もうどうでもよい世界です。料理でも同じです。旬のものをそのまま頂く。これも一つの術にございます。

これは極めて個人的な考えですが、世の中何でも画一的に物事は分かれるものでも、決まる物でも無いと思います。10人いれば10人の「正しい」と「間違い」があります。ただ、おおよそ「こうだよね」といったコンセンサスらしきものがあるのは、どんな世界でも間違いのない話で、できればそんなものは「知っておくに越したことはない」と思います。たとえば「よい写真を撮りたい」といったことでも、何をどうもって「よい」のか。基本的には見て貰った人達に褒めて貰いたいというのがあると思います。自分が面白いと思ったことを、どうすれば共有できるかを、世間にこれだけ写真や映像が溢れているのですから、そこで培われた「文法」みたいなものに寄り添ってみるということは大事です。要するに「マネしましょう」ということです。言い換えると「予定調和」ということです。あれですね。黄門様で、だいたい決まった時間帯に印籠が出てくるという、あの安心感です。しかし、マネしてみても、何処かしら撮り手のヤリクチみたいなものは滲むものです。たとえば、上のほうで「黄金比」について触れましたが、今回これを紹介するのに適当な作例が無い!・・・大きく外れず、近い形で構図してるのですが、微妙に一定のズレがあります。恐らくこれが私の気持ちいいと感じるポイントなんでしょう。撮り込んで行くと、自分でも「なるほど」と思うスタイルができあがってくるものだと思います。

さて、次回は自分を含め、RFサイト編集部所属のカメラマンの作例を並べ、それを事例として色々と構図についての解説をしてみたいと思います。ちなみに本人達に意図をヒアリングしたりしません。同じ撮り手だから、だいたいわかるものです。お楽しみに!

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