一日乗車券を利用しての、都電荒川線の旅(三ノ輪~荒川遊園)はいかがでしたでしょうか。東京の市街地を走る都電途中下車の旅は、気になるところでぶらりと降りられ、駅の周辺に見どころが満載。まさに東京の撮り歩きにはぴったりの乗り物だと思いませんか? 後半の旅、荒川車庫前~早稲田も見どころや気になる所が沢山ありそうです。では、都電荒川線に乗り込み出発です。
(写真・文/位田明生)

「一駅ぐらい歩いたほうがいいのでは・・・」そんな声が聞こえてきそうなほど、都電荒川線の駅と駅の間の距離は近いのです。本来ぶらぶら歩きながら撮影の東京感光ですが、夏の暑さ対策として、都電を上手く利用してみました。車内は涼しくて暑さから一息つくことができるのです。暑い夏の撮影は、休憩を取りつつ体調に気を付けて、自分のペースで行動することをお勧めします。

「荒川車庫前」には、平成21年に登場した新型車両や、明治から昭和初期の雰囲気をイメージした「レトロ車両」など、何種類もの車両が集まってきます。そして駅に併設されている「都電おもいで広場」(平日は休館)には、昔の車両も飾られていて、車内に入ることもできます。毎年6月の「路面電車の日」10月の「荒川線の日」に車庫の一般公開が実施されていますので、車庫の中をご覧になりたい方はタイミングを合わせて訪ねてみてはいかがでしょうか。

間近で見られ、都電が身近に感じられる駅です。車庫内には何種類もの車両が並んでいます。

「荒川車庫前」の隣駅「梶原」から歩いて数分のところに尾久操車場があります。ここには何本もの線路をまたぐ長い橋がかかっていて、橋の上からは窓越しに多くの線路を背景としたスカイツリーを望むことができます。鉄道風景とツリーのライトアップをバランスよく撮れる、良いスポットになりそうですね。(針金が入ったガラス窓越しの撮影の時は、針金をぼかして写らないようにするため、絞りを開放か一段絞るぐらいにしてください。そして窓ガラスへカメラが写らないようにするため、レンズをしっかり窓ガラスに付けて撮影してください。)




都電の旅も後半戦、三ノ輪から数えて21駅目の「庚申塚」で途中下車、おばあちゃん達の原宿「巣鴨地蔵商店街」を歩いてみます。この商店街「庚申塚」から「巣鴨」駅まで約800m、とげぬき地蔵尊が奉られている高岩寺を中心に、道路の左右にぎっしりとお店が並んでいます。さすが「おばあちゃん達の原宿」と言われるだけあって、アクセサリー、服、靴、帽子とファッションを中心にお店が並んでいます。渋谷の原宿と違って品揃え、色合いは写真の通り。個性的なお店のオンパレードです。

この看板は、見ているだけで元気が出てきそうです。この「赤パンツ」、何かご利益があるのかと考えてみたら還暦の色なんですね。こんな可愛いデザインのパンツを履いている、おじいちゃんおばあちゃんは素敵だと思いませんか。

メインストリートを一歩路地に入ると、静かな住宅街が広がっています。喧騒から離れて猫も道路の真中でお昼寝、ゆっくりした時間が流れています。

巣鴨地蔵通り商店街の中心となる「高岩寺」は、心身の刺を抜いてくれると言われ、「とげぬき地蔵」の愛称で親しまれている本尊が奉られています。本尊は秘仏のため直接拝観することはできません。参拝者が直接拝むことができるのが、境内にある「聖観世音菩薩」通称「洗い観音」です。観音様の体を洗い清めれば病気が治ると言われおり、平日にもかかわらず多くの方々が並んでいました。

原宿パワーに押され、ちょっと疲れたのでここらで一服、店名も「いっぷく亭」へ。このお店「庚申塚」のホームにある、手作りおはぎがお薦めのお店です。ホームに入ってくる都電と、乗り降りするお客さんを眺めながら「コーヒーと手作りおはぎの名物セット」を頂きました。甘いおはぎとコーヒーは、和と洋の不思議な組み合わせだと思いましたが、コーヒーの程よい苦味と、和菓子の優しい甘さの相性の良さは、とてもバランスが良く、美味しくいただくことができました。
(いっぷく亭 東京都豊島区西巣鴨2-32 03-3949-4574)



荒川を渡ると、都電の旅もあと二駅で最後の駅「早稲田」に着きます。都電から眺める荒川沿いの並木の新緑は目に優しく、最後は木陰の中を川沿いに歩いてみようと一駅手前の「面影橋」で途中下車しました。ここはソメイヨシノの並木道、光に溢れている新緑も綺麗だと思いますが、桜のシーズンは本当に見事なんでしょうね。

三ノ輪からスタートして早稲田までの30駅、都電荒川線の旅はいかがでしたでしょうか。一日乗車券を使った、駆け足の旅でしたが、今まで尋ねることのできなかった気になる街を訪れることができ、面白い発見がありました。今回は都電を中心にした東京感光、一つの街をじっくりと「感光」すると言う訳にはいきませんでしたが、都電から眺める街並みはどこも素敵に思えました。今度は、通り過ぎるだけだった街を、ぶらぶら歩きながら散策して、気になる景色、お店を探してみたいと思います。

 

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