1964年、東京オリンピック(10月10日)に合わせて完成した新幹線(10月1日)。その新幹線の高架下周辺に細長く広がっていった街が、有楽町ガード下とコリドー街。昼間は静かな街ですが、夜になるとカジュアルな立ち飲み屋から、高級料理店、和食、フレンチ、イタリアン、エスニックと多種多様なお店がオープンします。今回の東京感光は、今までと少し趣を変えてスナップ撮影の後に、一人でも大勢でも楽しめるとっておきのお店を、当サイトきっての飲んべえ・位田明生がご案内いたします。ちなみに、このページをご覧になって実際にお店を訪ねる際には、このページでご案内する順序でハシゴするのがおすすめです。空腹を満たしてサラっと一杯、趣を変えて一杯、最後に〆の一杯。粋に帳が落ちていく時間帯を過ごす、今回はそんなご案内です。※もはやカメラや写真はどうでもよい感が漂っておりますが・・・

今回の撮影のお伴は、LEICA M9とレンズ数本。有楽町から新橋はレンズの向け先に困らない被写体の宝庫でもあります。皆様ぜひカメラを握って出かけてみてください。

 

まずは一軒目、私がアシスタント時代から20数年通っている「たもつ」。お店の中は約35年前の創業当時とほとんど変わっていないカウンターだけの佇まい。

カウンターの上には新鮮な食材が整然と並べられています。このシャキッとした素材を見ているだけでも、お酒がすすんでしまいます。「たもつ」でのおすすめは、お店の外のビールのケースに板を載せただけのオープンエアーの席で呑むこと。この席、お店が混んでくると「ちょっと待ってね」と作られます。 今日もちょっと傾いた外の席に座り、高架を通り抜けて行く新幹線を眺めながら、いつものポッピーとレバ塩、つくねタレ、厚揚をいただきました。アシスタント時代から何も変わらないこの雰囲気。時折ガード下を抜けていく爽やかな風が、季節を感じさせてくれます。

「たもつ」
東京都千代田区有楽町2丁目3−2 宮内ビル 1F
03-3571-1794

「たもつ」でまずおすすめしたいのが焼き鳥。
お店が始まる前に、一本一本手作りで仕込まれます。何より身が大きい!
ガラスケースに引かれた氷が焼き鳥の乾燥を防ぎ、新鮮な状態を保ちます。
こんな細かい気遣いが美味しい焼き鳥の秘訣ですね。

備長炭を使い、強火で肉汁を閉じ込める。表面はカリッと中はジューシー。私が必ず頼むレバーは、中が半生。絶妙の焼き加減で、レバ刺しのような食感がたまりません。

手前の細長いしそ入りがさっぱりとした味、奥の団子状になっているのがカリッとした食感と、つくねは好みに2種類より選べます。お皿にちょっとのっている豆板醤を焼き鳥につけて食べると、ピリッとした味が効いて癖になります。

店内のメニュー。生ビールの横のストロングサワーがお店の名物。ほとんど焼酎なのですっきりとした飲み心地。ただ飲み過ぎると大変なことに・・・。自信の無い方は、「ソフト」とオーダーすると普通のサワーが出てきます。

お客さんといつも穏やかに話している店主久保田さん。この場所で35年、時代の移り変わりを肌で感じていただけに、社会と経済に関する分析には鋭さがあります。

ひと手間かけた料理とシンプルなメニュー。そいつをいただきながら、風に吹かれて腑と心に染み入るお酒。文字通り「ほろ酔い」に浸りたい方はぜひ足を運んでみてください。

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