距離計連動範囲が0.7mまたは1mから

ちょっとテーブルの上の料理を撮りたい。しかし寄れないんですよね。ご心配なく。故障ではありません。それ以上寄りたいときは、迷わずコンパクトデジタルまたはデジタル一眼レフ等々を追加でお買い求めになることをおすすめいたします。ちなみに1m以遠で撮る意味、なんてことを考え出すと少し哲学的で素敵です。

コサイン誤差が気になる

とりあえずむやみやたらに大口径レンズで開放で撮りたくなりますよね。真ん中でしかピントを合わせられないレンジファインダーでは、確かにコサイン誤差が気になります。そんなときはフイルムライカがおすすめです。撮ってすぐ確認できませんから、きっとお忘れに。その他の打開策として、少し絞る嗜みを覚える、なんてとこでしょうか。まあ、そんなに年がら年中開放で撮る理由も無いと言えば無いのでしょうから。ある種、大人になるという素敵な打開策でございます。もちろん自戒の念が込められております。

ど真ん中に写すのが難しい

距離計というよりはファインダーのお話しなのですが、、、そうなんですよね。たとえば壁面があって、そこに一つだけ植木鉢がある。小さな花が咲いていてとても可愛らしい。できればド真ん中に据えて撮りたい。これが難しいのです。レンズを通した像をファインダー上で見ているわけではないので、どうしても少しずれます。打開策としては被写体までの距離別にズレを補正する「ほっ!」というカメラずらしをマスターすることなのですが・・・大丈夫です。デジタルカメラなら何回も撮り直しができます。手前味噌なのですが、こちらにおすすめのカメラがございます。

厳密にフレームできない

こちらも距離計の話というよりは、ファインダーの話です。緩いんですよね、ブライトフレーム。これはもう機構上致し方のないことなのです。したがって何度も撮り直せるデジタルレンジファインダーがおすすめです。「俺は50mmの画角が染み付いている!」なんて言われる方がいらっしゃいますが、あのかの有名なブレッソン先生でもプリント時にトリミングなされるぐらいですから、緩い分はトリミングで対応、これ結構なことでございます。しかし、撮り慣れてくると、ある程度この緩さを補完できる感覚が備わってきます。機械が進化するのではなく、人が進化するカメラ。それがレンジファインダーなのです。色んな意味で素晴らしいカメラです。

ノクティルックスf1.0の2mまで

いまや高騰しちゃいまして大変なことになっているノクティルックスf1.0ですが、どうも最短から2mぐらいまではピントが怪しい。しかし、ご安心ください。だいたいこんなものらしいです。一度レンズをドイツへお里帰りさせてみたのですが、レンズのほうはいたって正常。最短から2mのピント精度を上げるのに「改造してよいですか?」とリクエストが来たという。ただでさえ、開放で2m程度までだと深度は浅いわけでして、色々とボディを疑ってみたり、レンズを疑ってみたり、フォーカスシフトの話があったり、さらには自分がシャッターを切るときに揺らいでるのではないかと疑ってみたり。何を基準に判断すればよいのかわからなくなってしまいます。というわけでございまして、レンジファインダーで大口径の使用は、ある種の悟りが必要となります。不必要に不安に駆られると不健康です。ピントが来たらもうけもの、とぐらいに思ってください。

我が作例撮影メンバーのこぼれ話

元々程度が良くないノクティルックスを手に入れた作例撮影メンバーA。どう撮っても後ピン、それもひどい後ピン。二重像合致後、ピントリングを「ひょい」とズレに対して適当に合わせるという猛者でしたが、あるときレンズの距離計連動カムを改造。なんと、無限遠はピントが来ないレンズに改造してしまいました。最短から20mぐらいまでの距離に最適化(?)してしまったのです。なんてことをするんだと叱責いたしましたが、本人ケロっと「だって、ノクチなんて無限で使わないし、開放でしか撮らないじゃないですかー」と。パラノイアだと思われますか? いえいえ、最適化された専用ボディ&レンズ、実は大口径レンズをレンジファインダーで使う作法の一つでございます。

距離計要らずの目測撮影

皆様ご存じの通り、レンジファインダーは最短が0.7mから1mあたりとなります。一部の広角レンズや改造レンズではもう少し寄ることができますが、その場合距離計連動範囲を超えてしまうため、完全に目測での撮影となります。マニュアルフォーカスならまだしも「だいたいこれぐらいだろう」と自分で被写体までの距離を決めてしまうのです。こんなことを繰り返していると、少々距離計連動が怪しいレンズなども「だいたいこんなもんだろう」と適当に使いこなしてしまうようになります。さらに脱線するユーザなら、寄りたいからとLMリングに取り付けたレンズをスクリューから落下寸前まで緩め、接写チューブならぬ落下チューブで接写を実現します。当然距離計は連動しないばかりか、レンズ落下のリスクもつきまといます。距離計カメラを使うということは、人を「テキトー」「いい加減」にしてしまいます。こんな人が増えると世の中はもっと平和になる気がします。了。

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