Sonnar2/85は、絞りと露出の組み合わせで面白いように描写が変わるレンズだ。 開放は少し甘い描写でハロが残る。 F2.8でハロは残るが甘さが消える。それ以上絞るとしっかりとした写りになる。露出による描写傾向の変化も面白い。 アンダーだとツァイスらしいこってりとした色とコントラストで厚みのある描写。逆にオーバーだとコントラストが低く優しい描写になる。このあたりの特性を踏まえて使えば幾通りものシーンに対応できて面白いが、特性を上手く掴めないと振り回されることになりそうだ。ただ、「光」「絞り」「露出」と三つの要素をしっかりと考え、組み立てて撮影すれば、ワンランクアップの画を実現してくれるレンズだ。たとえば愛する人のポートレイトなら、逆光気味にf2-2.8あたりの絞りをセレクトし、露出は少し多めにカメラの出た目から+2/3-+1とすると、優しい光に包まれた素敵な笑顔を収められるだろう。たとえば曇り空のヨーロッパの路地裏なら、絞りはf2.8-5.6あたりで、露出は少し切り詰め気味の-1。深い色合いの中に石畳が一つ一つ浮き出してくる。Sonnar2/85は、昔のレンズさながら撮影の組立を強いるレンズかもしれない。しかし挑み甲斐のあるレンズで、うまく使いこなせれば撮影者にイノベーションを与えてくれるレンズだと言えるだろう。